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脳は「口ぐせ」に左右される 同じ失敗を繰り返す人が、すぐ封印すべき「思考を狭めるNG言葉」

菅原洋平(作業療法士)

2026年05月08日 公開

脳は「口ぐせ」に左右される 同じ失敗を繰り返す人が、すぐ封印すべき「思考を狭めるNG言葉」

「いつも同じミスをしてしまう」「間違えてばっかり」――仕事などでミスをしたときに、こんな言葉を口にしていませんか?こうしたマイナスな口ぐせが、同じ失敗を繰り返す原因になることがあると、作業療法士の菅原洋平さんはいいます。

本稿では、言葉が脳に与える影響や同じ失敗をしないように気を付けたいことを見ていきましょう。

※本稿は、菅原洋平著『仕事が速い人があたりまえにやっていること』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

「口ぐせ」が最強の修正力をつくる

「失敗は成功のもと」ということわざは、「なにが間違っていたのかを調べて次に生かしていけば、必ず成功する」という意味です。素晴らしい人生訓ですが、実はこれ、脳科学的にも裏づけられています。

なぜなら、脳には、行動した結果、得られた感覚に基づいて次の行動を修正する「フィードバック誤差修正」という仕組みがあるからです。

作業をすればするほど上達していくのは、この仕組みのおかげ。つまり、「同じ失敗を繰り返す」という要領の悪さは、「脳へのフィードバック機能が正しく働いていないから」といえます。これを防ぐには、自分では気づかずに埋もれている「感覚」を発見する必要があります。

たとえば、同じ失敗をしがちな人でも、「プレゼンを周囲から褒められ、目頭が熱くなった」「大きな契約を受注できて興奮し、『自分ってすごい!』と思えた」など、ポジティブな出来事による感覚はなにかしらあるはずです。こうした感覚が一度掘り起こされれば、「その感覚に基づいて行動を修正してみよう」と脳内で自動的にセットされます。

感覚が埋もれてしまう原因の代表例は「口ぐせ」です。「いつも○○」「○○ばっかり」こんな言葉を使っていませんか?

たとえば、「いつも眠れない」と言うと、完全に睡眠をとっていないことになりますが、実際にはそんなことはあり得ません。しかし「いつも」と言ったことで、眠れた日の感覚が埋もれてしまいます。埋もれてしまえばその感覚は忘れてしまい、忘れてしまえば、自分はそうだと決めつけてしまいます。

一部のことを全部のように決めつけてしまう口ぐせをやめて、代わりに「あのときはうまくいった」とつぶやいてみましょう。脳内では、うまくいったときの感覚に焦点が当てられて、違う結果になるための行動記憶を読み出すことができます。

私たちが使う言葉は、記憶の「検索ワード」のようなもの。「あのときはうまくいった」とつぶやいたとき、脳内では「あのとき」の行動記憶が検索されます。グーグルなどの検索エンジンを使うと、関連するページを探し出してくれますよね。あれと同じイメージです。

なので、脳という検索エンジンの中にポジティブな行動記憶を入れておけば、検索するときもポジティブな記憶がヒットし、その記憶に基づいた行動(=うまくいったときの行動)を自動的にとってくれる、というわけです。

普段から「いつも」と「ばっかり」という言葉を使わないようにしてみるだけで、脳のセンサーが働き始め、「うまくいったときの感覚」を掘り当ててくれます。あとは、脳の修正力に任せるだけ!

ほかにも、こんな言葉を口ぐせにしていませんか? もしこの中に、「言っちゃってる......」というものがあれば、今日から使用禁止です!

【NG口ぐせ集】

・絶対〇〇:絶対失敗する、絶対忘れる、絶対眠れない

・また〇〇:またやっちゃった、また怒られた、また遅刻した

・昔から〇〇:昔から要領が悪い、昔からミスが多い、昔からこうだ

・必ず〇〇:必ず怒らせる、必ず忘れ物をする、必ず嫌われる

・〇〇ばっかり:トラブルばっかり、悪いことばっかり、負けてばっかり

・〇〇だけ:自分だけ損をしている、あの人だけ得をしている

・全然〇〇:全然ダメ、全然うまくいかない、全然思いどおりにならない

 

「同じ間違いをしちゃう」には前兆がある!

トラブルの初期段階には、なんらかの「生理的な前兆」があります。前兆を察知できれば、「いま自分は、失敗を繰り返しやすい状態にある」とセンサーが働き、同じような失敗を防ぐことができます。

みなさん、こんな経験ありませんか?

仕事が忙しくてやることが山積みな時期に限って、なぜか帰宅後に「その日にやらなくてもいい片づけや掃除」をしてしまう。机の上の書類の整理、散らばった洗濯物の片づけ、部屋の隅に置いてあるホコリを被った段ボールの整理などなど。普段はやらずにいるのに、なぜか気になってやり始めてしまう.......。そして、寝不足で翌日のパフォーマンスが上がらず、おきまりの「またやってしまった......」。

このような、通常のテンションと違うときは、同じ失敗を繰り返してしまいがち。日中の忙しさで交感神経が優位になり、その結果として高まった心拍などの生理的な状態に、行動を合わせてしまっているからです。ほかにも、

・予定より早く作業が終わったとき

・売り上げが予想を超えてよかったとき

・突然誰かに褒められたとき

このような「予期せぬ報酬」を得たときも、ドーパミンが脳にあふれ出し、高い心拍数に合わせて私たちの視野は狭くなり、そのテンションで作業に手をつけるようになってしまいます。こうした状況のときは、体が発するサインに注意を向けることが大切。脳には、意識が向けられている感覚が増幅される機能が備わっています。

自分の体のサインを見つけて、その生理現象をよく観察する。すると、脳に到達する段階で感覚は増幅されて、脳内では、「いま、自分の体に起こっていること」が明瞭に再現されます。その結果、「この状態のときの自分はマズい」と気づくことで、最適な行動に修正することができるようになる。それが、あなたを「仕事が速い人」に近づけます。

プロフィール

菅原洋平(すがわら・ようへい)

作業療法士/ユークロニア〔株〕代表取締役社長

ユークロニア株式会社代表。国際医療福祉大学卒業後、作業療法士の免許を取得。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニックで臨床を行なう傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活かした企業研修などを全国で行なう。『努力に頼らず「要領がいい人」になる40のコツ』(アスコム)など著書多数。

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