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メモを取るならスマホより「手書き」 作業療法士が教える、記憶に残りやすい4つのノート術

菅原洋平(作業療法士)

2026年05月14日 公開

メモを取るならスマホより「手書き」 作業療法士が教える、記憶に残りやすい4つのノート術

パソコンで仕事をすることが多い人は、メモを取るときもパソコンに入力している人が多いでしょう。でも実は、デジタルよりも「紙に手書き」の方が記憶に残りやすく、書いた内容を忘れにくくなると、作業療法士の菅原洋平さんはいいます。

なぜ手書きの方が記憶に残りやすくなるのか――本稿では、その理由と記憶に残りやすくなるノート・メモ術を紹介します。

※本稿は、菅原洋平著『仕事が速い人があたりまえにやっていること』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

ノートやメモは「紙」がいいこれだけの理由

『仕事が速い人があたりまえにやっていること』の制作にあたり、事前に100名からとった「要領のよさ」アンケートで、予想外に多かったのが「ノート・メモに関する失敗談」。たとえば、次のような例です。

・ノートをきれいに書くことが目的になってしまい、ほとんど見返すことなく、結局、教科書を丸暗記していた

・打ち合わせ中にとにかくメモしていたら文字だらけになり、「なにが重要なのか」がわからないノートになってしまった

・そもそもノートに書いたことを忘れていた。後から「なんだ、こんなとこに書いてあったじゃん......」

要領のよさを左右し、仕事が速い人になるノート・メモ術。ここでぜひ、今日から使えるノウハウを身につけておきましょう!

...と、その前に改めてお伝えしたいことがあります。それは「紙に書くことの重要性」です。紙に文字を書くことで、そのときの出来事を「物語」として記憶しやすくなります(これを「エピソード記憶」といいます)。

たとえば、「2月のスケジュール」という文字を紙に書いて読むと、節分や雪、寒さ、年度予算の消化方法、本年度の締めくくりなど2月と関連するものが過去に体験した記憶とともに連想されやすくなります。

一方で、デジタルに入力した「2月のスケジュール」という文字を読むと、それはただのアイコンのようなもので、紙ほど記憶の関連づけは行われません。「この後、実際にスケジュールが書いてあるんだろうな」と感じる程度です。

これは「旅行の記録」をイメージしてもらうと、よりわかりやすいと思います。旅日記をつけたことがある人は、日記を読み返したときに「あのとき、面白い人に会ったな」「あのラーメン、おいしかったな」といった感じで、そのときの情景を鮮明に思い出せた経験が多いのではないでしょうか。「エピソード記憶」として覚えることで、丸暗記の「単純記憶」よりも忘れにくくなります。

たとえば、人と会話をしたエピソード記憶では、そのときの相手の笑顔を見てうれしい感情を体験したり、その人の行動を観察したり性格を推察したり......実にさまざまな感覚、感情、思考がほかの記憶と結びついて記憶されます。こうした結びつきが多彩であるほど、思い出すときの手掛かりも豊富になり、忘れにくくなるのです。

最近は、スマートフォンやタブレットなどをノート代わりに使っている人も多いですが、紙は思考を整理したいとき、判断が求められるときはもちろん、特に「忘れっぽい」人にはおすすめです!

 

忘れにくくなる「自分の言葉」変換術

先ほど、紙に書くことで記憶に定着しやすくなることをお話ししましたが、さらに忘れにくくする方法を4つ紹介しましょう!

<①「自分の言葉」に直して書く>

講師の発言に対して「手書きでメモ」と「パソコンでメモ」した場合の比較実験では、明らかな違いが確認されています。手書きの場合は、講師の発言とは異なる「自分の言葉」でメモされました。一方でパソコンの場合は、セリフどおりにメモされました。

これは、タイピング作業による脳への負担が大きく、言葉を変換している余裕がないからだと考えられています。一見、パソコンでタイピングするほうが脳への負担が少なそうに感じるかもしれません。

しかし実験をしてみると、手書きでメモをしながらの雑談はできますが、タイピングをしながらの雑談はかなり難しく、しゃべろうとするとタイピングの手が止まってしまいます。タイピング作業は、実は紙に書くよりも脳への負担が大きいのです。

そして、「自分の言葉」に変換するほうが記憶に残りやすく、その後のテストの成績がよくなる、という実験結果もあります。この実験では、教科書を熟読しただけのグループよりも、その内容について自由作文を書いたグループのほうがテストの結果が高得点になっています。「インプットよりアウトプットのほうが記憶に残りやすい」という点と、「自分の言葉に変換したことで、エピソード記憶化された」という点が要因だと考えられています。

「自分の言葉に変換する」と聞いて、難しく感じた人もいるかもしれませんが、とても簡単です。例を1つ紹介しましょう。

健康経営のセミナーを聴いているなかで、講師が「日本では1980年代から高齢化が始まり、2000年から働く人口が減っています。2020年には65歳以上は全体の30%になりました。これからの企業は従業員の健康寿命を延ばし、長く働ける環境をつくることが必要です」と話していたとします。

このとき、「高齢化は80年代から。働く人口が減っているので個々の働き手としての寿命を延ばす秘策を考える」というように、話した内容をそのまま書くのではなく、要約してメモをする。これを意識するだけで、自然と「自分の言葉」で表現でき、記憶に残りやすくなります。

<②「頭の中のつぶやきごと」を書く>

「自分の言葉」でメモするときは、「独り言(モノローグ)」もメモしておきましょう。「やっぱりここ重要」「これも忘れそう!」と感じたことを書き込んでおくのです。すると、そう感じたときの心理状態も記憶に付与されるため、エピソード記憶化させ、その情報をより忘れにくくなります。

<③「記憶に残るタイトル」を付ける>

ノートやメモを書くとき、後から見たときになんの情報なのかを瞬時にわかるようにするため、ページの最初にタイトルを入れている人は多いと思います。このタイトルも、「自分の言葉」にするのがおすすめ。

たとえば、「データサイエンスの基礎」について勉強するときは、そのままのタイトルより、自分でつけたタイトルのほうがエピソード記憶化されやすくなります。「データオタク入門」「もう、その根拠は?と言わせない!」というイメージです。会議のメモなら「みんなで新商品を届けるぞ!会議」のようにすると、書くのが楽しくなり、より強いエピソード記憶になりそうですね。

<④ページの隅に「保留箱」欄をつくる>

これは大きめのノートを使っている人に有効な方法です。すぐ必要でない情報やなんとなく書いておきたいことが頭に浮かんだら、ページの隅に「保留箱」のスペースを用意して書き入れましょう。これだけで、ノートに書く情報がスッキリと整理されます。

ノートという空間の中で、手を「保留箱」まで移動して書く動作は、「保留箱までテクテク歩いて情報を置いた」というエピソードになって脳に残ります。そのおかげで、その情報がふいに必要になったときも、脳が自動的に「あの情報は保留箱に入れたな!」と反応して探し出してくれます。

あれこれ書きすぎて、後から見返したら「なんじゃこりゃ......」。そんな経験がある人にもおすすめの方法です!

プロフィール

菅原洋平(すがわら・ようへい)

作業療法士/ユークロニア〔株〕代表取締役社長

ユークロニア株式会社代表。国際医療福祉大学卒業後、作業療法士の免許を取得。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニックで臨床を行なう傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活かした企業研修などを全国で行なう。『努力に頼らず「要領がいい人」になる40のコツ』(アスコム)など著書多数。

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