
先送りグセに悩む人の原因の一つに、心のモヤモヤの整理ができていないことが挙げられます。
おうち起業コンサルタントの三上美幸さんは、過去にうつ病を経験した際にカウンセラーから2冊のノートを使った気持ちの整理をすすめられ、実践するうちに前向きな気持ちが強化されていったそう。
三上さんの著書『結局、「すぐやる人」がうまくいく』から、その詳しい方法とネガティブ感情を手放すメリットについて語られた一節を紹介します。
※本稿は、三上美幸著『結局、「すぐやる人」がうまくいく』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです
心を解放する「悲しみノート」心を前向きにする「ワクワクノート」
心の中がモヤモヤ整理できていなかったり、モノが散らかっていると、「すぐやる」行動に移るのが難しいものです。
気持ちを整理し、前向きな自分になるためには、「感じたことを書き出す」ことが効果的です。ひとりで気持ちを整理したい場合、ノートに記録することで自己肯定感を高めることができます。
私は過去に「悲しみノート」と「ワクワクノート」を使って、気持ちを整理していました。これは、うつ病だったときにカウンセラーにすすめられた方法です。
どんなノートでも構いません。2冊用意して、それぞれの表紙に「悲しみノート」「ワクワクノート」と書きます。そして次のように使い分けます。
●悲しみノート......悲しいことやつらいことを書いて気持ちを捨てる意識を持つ。
●ワクワクノート......少しでも嬉しかったことやワクワクしたことを書く。
悲しみノートには、その時々に感じたネガティブな気持ちをすべて書き出します。
私の場合、「今日はテレビの音が怖かった」「なんとなく不安だった」といった感情を紙に書くことで、頭の中のモヤモヤを外に出すことができ、気持ちが軽くなっていきました。いやなことを自分の中から追い出す、あるいはノート上に捨てる感覚です。
一方、ワクワクノートには、「今日は天気がよかった」「風が気持ちよかった」など、小さくてもいいから、「嬉しく感じた」ことを記録します。
書き出すことで、気持ちがどんどん整理されていく
ポイントは、悲しみノートは見返さず、ワクワクノートは積極的に見返すことです。ネガティブな感情を書き出すことで気持ちを手放し、ポジティブな記録を見返すことで、前向きな気持ちを強化していきます。
うつ状態のときに始めたせいか、最初は悲しみノートばかりが増えていました。ワクワクノートに書く内容が思いつかず、苦労しました。でも、「どんなに小さなことでもいいから1日ひとつは書く」と決めて続けるうちに、次第にワクワクノートに書く内容が増えていきました。
続けていると、「悲しいことやつらいことばかりだと思っていたけれど、ちゃんと楽しいこともあるんだ」と気づけるようになりました。
気分が落ち込んだときは、ワクワクノートを見返すことで、「こんないいことがあったんだ」と思え、気持ちを前向きに変えることができました。
ノートに感情を書き出す方法は、褒め褒めワークと通じるものがあります。違いはフォーカスする対象です。
褒め褒めワークは自分の行動を肯定するためのもので、ワクワクノートは「感じた喜び」にフォーカスしています。
私は褒め褒めワークではノートは使いませんでしたが、見返したい人は、専用のノートをつくってもいいでしょう。
●1日ひとつ、どんな小さなことでも「できたこと」を書く→褒め褒めワーク
●悲しみやネガティブな感情を書き出して手放す→悲しみノート
●ワクワクしたことを書いて見返す→ワクワクノート
これを続けるだけで、少しずつ気持ちが整理され、自己肯定感が高まっていきます。私もこの方法を続けたことで、精神的な安定を得ることができました。
大切なのは、日々の小さな感情を無視せず書き留めること。そして、ワクワクノートを見返して、自分の中に確かにある「前向きな気持ち」を大切にすることです。
ネガティブな感情に、エネルギーを使うのは無駄
そもそもネガティブな感情にエネルギーを使うことは無駄だと考えています。
エネルギーを使うなら、私は仕事に注ぎたいのです。
仕事ではどうしても感情の起伏が避けられません。クライアントや受講生とのやり取り、売上向上のプレッシャー、やる気を奮い立たせる場面......。さまざまな感情が絡んできます。
仕事以外の場面では、極力ストレスをゼロにして、平穏な環境をつくることを大切にしています。
感情の起伏を抑えることは、私にとって「無駄をなくす」ことそのものです。空間やパソコンを整理整頓するように、感情もきちんと整理しておくことで、すぐに行動に移せる状態を保てます。