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即決できる人にあって優柔不断な人に足りないものは? 自分の判断基準がわかる5つの項目

川岸宏司(株式会社DIL 共同創業者)

2026年06月18日 公開

即決できる人にあって優柔不断な人に足りないものは? 自分の判断基準がわかる5つの項目

会議で振られて即答できる人と、頭が真っ白になって答えられない人...。この違いは語彙力ではないと、起業家の川岸宏司さんは語ります。

著書『なぜ、あの人の言葉は心に響くのか』では、川岸さんの実体験も交えて言語化のメゾットを紹介しています。その中から決断を早くする「自分の取扱説明書」について解説した一節をお届けします。

※本稿は、川岸宏司著『なぜ、あの人の言葉は心に響くのか』(大和出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

0.1秒で言葉が出る人の頭の中

会議で突然「どう思う?」と振られた瞬間、頭が真っ白になったことがある。大切な人に「ありがとう」を伝えたいのに、喉の奥で言葉が詰まったことがある。日記には書けるのに、いざ今日あったことを誰かに話そうとすると「まあ、いろいろ......」で終わってしまう。

これは私の結論として、語彙がないからではありません。言葉の「在庫」はあるのに、必要な瞬間に「棚から取り出す速度」が追いついていないからだと思っています。

たとえば、倉庫にはたくさんの工具が詰まっているのに、どの引き出しに何が入っているか整理されていない状態。ドライバーが必要な瞬間に金槌を掴んでしまったり、あるいは、引き出しを開けるのに時間がかかりすぎて、手ぶらのまま立ち尽くしてしまう......そんな状態です。

 

決断が鬼速な人の「自分の取扱説明書」

ランチのメニューを選ぶのに5分かかる人がいます。一方で、新しい挑戦のような大きな決断を、驚くほどあっさり下す人がいます。この差は、頭のよさでも度胸の大きさでもありません。「自分の判断基準が言語化されているかどうか」です。

たとえば私の場合、判断に迷ったときの最終基準は「カッコいいか、カッコ悪いか」です。損得でも正誤でもなく、自分がその選択を10年後に振り返ったときに胸を張れるかどうか。これが言語化されてからは、判断のスピードが劇的に変わりました。

逆に、この基準がなかった20代の頃は悲惨でした。新しい事業をやるかどうかで何ヶ月も悩み、その間に3人の友人、2人の先輩、1人の経営者仲間に相談し、結局「もう少し考えます」で終わる。

決められない人の頭の中には、5人の住人がいます。具体的に言うと、「まだ情報が足りない」と永遠に調査を続ける完璧主義の自分、「失敗したらどうしよう」と怯える8歳児の自分、「普通はどうするんだろう」とSNSを漁る比較の自分、「今のままでよくない?」と現状維持を囁く怠け者の自分、「どっちを選んでも後悔する」と呪いをかける予言者の自分......。この5人が同時に喋るから、頭がパンクして「まあ、いろいろ......」で終わっているのだと思います。

多くの人は、判断基準を持ちすぎています。だからこそ、判断基準をひとつに限定できる人は違います。5人が騒ぎ始めた瞬間に、「で、それはカッコいいのか?」の一言で全員が黙る。基準が1つあるだけで、脳内会議が一瞬で終わる。そんなイメージです。

 

5つの判断基準から理想の自分像が見えてくる

では、どうやって判断基準を言語化するのか。私がおすすめしているのは「自分の取扱説明書」をつくることです。書くのは5つだけ。

①判断の軸:何を基準に決めるか

私の場合は「カッコいいか、カッコ悪いか」です。ちなみにこれ、正解はありません。自分にしっくりくる一言を見つける、それだけでいいですし、変わってもいいです。

②人間関係のスタンス:人とどう関わるか

私の場合は「来るもの拒まず、でも迎合せず。好きなときに好きな言葉を投げられない関係性なら維持しない」です。これが言語化されてから、人付き合いのストレスが激減しました。

③失敗への向き合い方:うまくいかないとき、どうするか

私の場合は「失敗をまずは惰性か全力かで判断し、前者は自分を許さない。後者は認める。また、失敗を笑う外野は許さない」です。きれいに取り繕わず、素直に言葉にしてみてください。

④時間の優先順位:何に時間を使うか

私の場合は「自分と家族、友人、社員を優先。他者の人生は生きない」です。ここは特に世間の「正しい」に目を向けず、自分の理想に目を向けてください。

⑤絶対にNOと言うこと:これだけは譲らない

最後に、私の場合は「誰かの人生を生きること。生殺与奪の権利を握られること」です。絶対に嫌な自分を言語化してみてください。

この5項目が埋まった瞬間、あなたの脳内に超最適で理想の自分像が生まれます。

 

理由が明確だから、信用に繋がる

取扱説明書の最大のメリットは、判断に迷わなくなることではありません。「なんとなく」が消えることです。なんとなくコーヒーを選び、なんとなくその服を着る。この「なんとなく」は、判断基準が言語化されていないために起きます。

取扱説明書が完成すると、すべての選択に「理由」が生まれます。

「なぜこの仕事を引き受けたのか」→家族に話せる仕事だから
「なぜこの誘いを断ったのか」→他者の人生を生きることになるから
「なぜこの失敗を許せるのか」→全力でやった結果だから

理由がある選択は、後悔しません。そして、理由を言語化できる人は、他人にも自分の判断を説明できます。説明できるから信頼される。信頼されるから、さらに大きな決断を任される。この好循環が回り始めます。

1つだけ注意点があります。この取扱説明書は「完成品」ではなく「メモ」です。20代の自分と40代の自分では、判断基準が変わっていて当然です。半年に1回くらい見返して、「これ、まだ自分にフィットしてるかな」と確認してみてください。合わなくなっていたら書き換える。それ自体が、感情の言語化のトレーニングになります。

取扱説明書は、自分という複雑な人間を、自分自身が扱いやすくするための翻訳作業です。翻訳が終われば、0.1秒の判断は自然とついてきます。

プロフィール

川岸宏司(かわぎし・こうじ)

株式会社DIL 共同創業者

貧困生活の中、16歳で社会に出て、17歳で貴金属事業を共同起業。自己成長のために本を読み始めるも、「面白いが時間がかかる」という悩みから速読教室に通う。しかし、多額を投じて試した手法はいずれも理解を置き去りにすると痛感する。速読手法を追い求める中で、読書は「文字を目で追いながら、脳内で音として理解する行為」と気づく。
そこで、読書速度の上限は、「脳の内なる声」の処理速度に基づくと仮説を立てる。高速音声を継続的に聴くことで、「脳の内なる声」の処理を鍛えるメソッドを開発。科学的根拠を踏まえた「理解を犠牲にしない速読法」を確立した。自身が運営していた有料読書コミュニティ内で速読講座を開いたところ、1000人以上から高い評価を得た。実務と研究を往復しながら、「速く、深く、人生を変える読書」の体験をひろげている。
現在は、株式会社DILを含む複数会社を経営し、SNS顧問/デザイン/営業代行/書籍プロデュースの業務を担う。Voicy『マグの1%読書ラジオ』は累計再生180万回超。2020年開始のXでは読書術/言語化術を発信し、5年で10万フォロワーを突破。

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