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朝食抜き×遅い食事は突然死リスク増!血管を守る「バナナ1本」からの新習慣

歌島大輔 (整形外科医)

2026年06月09日 公開

朝食抜き×遅い食事は突然死リスク増!血管を守る「バナナ1本」からの新習慣

「忙しくて朝食を抜きがち」「帰りが遅くて、夕食も遅い時間に食べている」という人は多いのではないでしょうか。しかし、心臓や血管の健康を考えた場合、その習慣には恐ろしいリスクが隠されています。
本記事では、整形外科医として診療に携わる一方で、医学論文に基づいた情報発信を積極的に行っている歌島大輔氏が、「朝食抜き」や「遅い夕食」がなぜ血管をボロボロにしてしまうのか、そのメカニズムについて医学研究データを元に解説。あわせて、「バナナと牛乳だけ」など、忙しい朝でも実践できる、体内時計と代謝のスイッチを入れる食習慣を提案します。

※本稿は、歌島大輔著『科学的に証明された 突然死を招く習慣・長生きする習慣』(高橋書店)より一部抜粋・編集したものです。

 

「朝食をまったくとらない人」は、心血管疾患による死亡リスクが1.9倍

心臓と血管の観点から見ると、「朝食を抜く」という習慣は、想像以上に大きなリスクをはらんでいます。
スペインの銀行員、約4000人を対象にした研究では、1日のエネルギーを朝食でほとんどとらない(朝食抜きに近い)人は、しっかりとる人に比べて、動脈硬化が起こる割合が2倍以上だったと報告されています。[2]

また、アメリカ在住の40〜75歳の男女6550人を、最大で23年間追跡した研究では、「朝食をまったくとらない人」は「毎日とる人」よりも、心血管疾患で亡くなるリスクが、約1.9倍高いことが示されています。[3]
さらに、世界の約240万人をまとめた研究では、「朝食を抜く人」は「きちんと食べる人」よりも、心血管疾患全体のリスクが約1.2倍、心筋梗塞や脳卒中などによる死亡リスクも有意に高いと報告されています。[1]

 

朝食抜きから「血管を痛める生活」が始まる

なぜ、朝食を抜くだけでここまで血管にダメージがたまるのでしょうか。

一つは、「体内時計」とのズレです。
本来、朝日を浴びて朝食をとることで、「1日のスタートスイッチ」が入り、血糖や血圧、ホルモン分泌のリズムがととのいます。
ところが、朝食を抜くと、このスイッチが入らないまま、夜遅くまで食べ続けやすい――すると、血糖値や中性脂肪が大きく乱高下し、インスリンの働きが鈍くなったり全身の(慢性)炎症が進んだりし、血管の内側(内皮)が傷つきやすくなります。

もう一つは、ほかの不健康な生活習慣とセットになっていること。
朝食を抜く人ほど喫煙・飲酒が多く、身体活動量が少なく、しかも夜更かしをしがち、という傾向が、多くの研究で報告されています。[2][3]

そして、見逃せないのが「夜遅い時間の夕食」と組み合わさっていること。
日本在住の約8万人を対象とした調査では、夕食が20時以降、あるいは時間がバラバラな人ほど、脳卒中など心血管疾患で亡くなるリスクが高いと報告されています。[4]

とくに、これらの人は朝食を抜くことが多く、「夜遅くドカ食い→朝食抜き」という流れは、血管にとって最悪のコンビネーションだといえます。

 

「朝食を抜けば、摂取カロリーが減ってやせる」の間違い

「朝食を抜くことでカロリーを減らしてやせたい」という人もいると思います。
たしかに、短期的には体重が減るというデータもあります。ただし、その裏では動脈硬化の原因となるLDL(悪玉)コレステロールの上昇が、示されています。[5]
つまり、血管という観点からみると、かえって危険なのです。

また、朝食を抜いても、1日の総摂取カロリーが変わらないか、むしろ増えてしまうことも多々あります。空腹の反動で、昼食・夕食の量や甘い飲み物・お菓子が増えるためです。
結果的に、血糖値や中性脂肪が一気に上がる「ドカ食い」に近いパターンが増え、動脈硬化の進行を加速させます。[1][3]

「夜遅い食事」も同様に、血管に悪影響を及ぼします。
寝る直前に食事をすると、高血糖の状態で横になることになります。
本来、睡眠中は胃腸と代謝活動を休ませますが、そのタイミングでフルに働かせることになり、結果、血管の炎症や酸化ストレスが高まりやすくなるのです。[4]

つまり、「朝食を抜く」「夕食が遅い・不規則」「ドカ食いする」という三つの要素で、血管はボロボロになっていくと考えてください。

 

「少量でも口に入れる習慣」で突然死を防ぐ 

とはいえ、「朝は食欲がない・時間がない」「どうしても夕食が遅くなる」という現実も......。そこでのポイントは、「完璧な朝食」や「理想的な時間」にこだわりすぎず、できる範囲で「血管を守る最低ライン」をつくることです。
まずは、「ひと口朝食」からやってみましょう。
たとえば、
 ・バナナ1本+牛乳または豆乳(無調整)
 ・小さめのおにぎり1個+みそ汁(インスタントでも可)
 ・ヨーグルト+ナッツひとつかみ
 ・オートミール+牛乳
など、5分もあれば食べられる組み合わせを決めてしまいましょう。
量は少なくても、「朝に固形物を口に入れる」ことで、体内時計と代謝のスイッチが入ります。

それには「前夜に朝食を用意しておく」ことも有効です。
前晩におにぎりをつくって冷蔵庫に入れておく、皿に入れたオートミールをテーブルに準備しておいて、朝、牛乳を注ぐだけ、といった工夫で、「朝に迷わない」状態をつくると続きやすくなります。

また、夕食が遅くなる場合は、「分割して食べる」というのが現実的です。
たとえば、18〜19時ごろに主食とたんぱく質をある程度食べ、あとはスープやサラダ、少量の主食にとどめる――つまり、寝る2〜3時間前までに「メインの食事」を終えておくイメージです。

とはいっても、どうしても遅い時間にしっかり食べざるを得ないときもあるでしょう。
その場合は、
 ・脂っこいものを避ける
 ・炭水化物は「腹8分目」にとどめる
 ・アルコールを飲まない
だけでも血管へのダメージはかなり減らせます。

最後に、これだけは意識してください。
 ・週のうち3日だけでも、なにかしらの朝食をとる
 ・寝る直前に食事をとることを減らす
ひと口の朝食と、早めの夕食が心筋梗塞や脳卒中を防ぎます。

[1] Zhang H, et al. Front Cardiovasc Med. 2025;12:1565806
[2] Uzhova I, et al. J Am Coll Cardiol. 2017;70(15):1833-1842.
[3] Rong S, et al. J Am Coll Cardiol. 2019;73(16):2025-2032.
[4] Tang J, et al. Nutrients. 2021;13(10):3389.
[5] Zhang L, et al. Front Endocrinol. 2023;14:1256899.

プロフィール

歌島大輔(うたしま・だいすけ)

整形外科医

日本整形外科学会・日本専門医機構認定整形外科専門医。日本整形外科学会認定スポーツ医。
1981年生まれ。山形大学医学部卒業。現在はフリーランス整形外科医として複数の病院で診療・手術を行っている。年間の手術件数は400件と全国トップクラス。
また、情報発信ドクターとしてSNSで情報発信活動を行っている。現在、YouTubeチャンネル「ちょいエビデンスの整形外科医YouTube Ch.歌島大輔」は23万人のチャンネル登録者数を誇り、医療・健康系オンライン講座の受講生は延べ1000人ほど。

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