思い通りにいかなかった出来事は事実でしかなく、そこに意味を与えているのは「解釈」である――。ライフコーチの三凛さとしさんは、悲しい出来事も視点を変えれば"ギフト"として受け取れるようになるといいます。三凛さんが推奨する「書くワーク」をまとめた一冊『こころの毒出しノート』より、過去の出来事からメリットが感じられるようになる方法を紹介します。
※本稿は三凛さとし著『こころの毒出しノート』(飛鳥新社)より一部を抜粋・編集したものです。
視点を変える「ギフトのワーク」
今日は、出来事を別の角度から「事実として」見直すことをしましょう。
これを、ここでは「ギフトのワーク」と呼びます。
私たちは、思い通りにいかなかった出来事をこう語りがちです。
「あの出来事のせいで傷ついた」
「あの失敗のせいで、時間を無駄にした」
「あいつのせいで、人生が狂った」
たしかに、そのときはつらかったし、悲しかった。納得できなかったのです。その事実を否定する必要はありません。
ただ、ここで出来事そのものは良いも悪いもないということを思い出してください。
出来事は、ただ起きただけです。
そこに意味を与えているのは、私たちの「解釈」です。
同じ出来事でも、人生は分かれる
「失恋したおかげで、もっと大切にしてくれる人に出会えた」
そう考えることができれば、失恋という悲しい出来事はギフトになりますよね。これはよく聞く話かもしれません。
では、こんな出来事の場合はどうでしょう。
詐欺にあって財産を失った
重い病気で入院した
長年頑張った仕事を失った
とてもつらい出来事です。一見すると、「ギフトなんてない」と思えるかもしれません。でも、時間をおいて事実を整理していくと、多くの人がこう口にします。
「 あの出来事がなかったら、もっと深刻な状況に巻き込まれていた」
「 あれがきっかけで、人生の進路が変わった」
このように言う人は、強がっているわけではありません。本心で言っています。渦中にいるときはなかなかそう思えなくても、あとから振り返ればやはりそこにギフトを感じることができるのです。
物語は書き換えることができる
悲しい出来事を、「かわいそうな私」という物語で終わらせるか、「あれがあったから、今がある」という物語に変えるか。私たちは選ぶことができます。どちらを選ぶかで、人生の質が大きく変わることがお分かりでしょう。
これは、無理に感謝しろという話ではありません。事実の並び替えの話です。その並び替えは、自分で行うことができます。
なぜ「20個」書き出すのか
今日のワークでは、過去の悲しい出来事から得たギフトを最低20個書き出します。
「そんなに出ない」と思いますか?
それが普通です。
最初の3~5個は、比較的すぐに出てくるでしょう。でも、6個目あたりから、頭の中でこういう声が聞こえてきます。
「やっぱり、あれは悪い出来事だった」
「無理やり意味をつけているだけだ」
そこからが本番です。
数を出すことで、1つの出来事に貼りついていた"悲しみ一択のラベル"が剥がれ始めます。次にお伝えする「ギフトを見つける4つの視点」を参考にしながら、ちょっと無理やりにでもとにかく書くことに挑戦してみてください。
20個書き終えた頃、多くの人がこう感じます。
「たしかに、あれは必要なプロセスだったかもしれない」
その感覚が生まれたら、このワークは成功です。
ギフトを見つける「5つの視点」
20個のギフトを見つけるために、次の5つの視点で考えてみてください。
1.直接的メリット(時間・お金・環境)
その出来事によって、実際に生活や環境がどう変わったか。
例:プロジェクト中止→残業が減り、睡眠時間が確保できた
2.間接的メリット(連鎖して起きた変化)
その出来事を発端として、あとから連鎖して起きた変化や、別の道が開けた経験。「あの出来事があったから、その後の○○につながった」と振り返って言えるもの。
例:プロジェクト中止→空いた時間で資格を取った→その資格が転職に役立ち、年収が上がった
3.知識・スキル・経験値のメリット
学びとして、確実に身についたもの。
例:病気→健康や保険の知識が増えた
4.人間関係のメリット
実際に変化した関係性。
例:左遷させん→嫌な上司と距離ができ、新しい縁が生まれた
5.回避のメリット(重要)
その出来事があったからこそ、実際に起きずに済んだトラブル・苦労・消耗。
例: 採用されなかったおかげで、ブラックな職場に長年縛られずに済んだ。
恋人と別れたことで、金銭トラブルや精神的消耗を回避できた。
中止になったことで、大きな赤字や責任問題を背負わずに済んだ。
※「避けられたかもしれない」ではなく「確実に避けられた」と言えることだけを書くようにします。
過去の悲しい出来事から得られたギフトを書き出すワーク
さあ、実践です。
過去の悲しい出来事を1つだけ選び、ギフトを見つけましょう。
(0)1分・ズボラ瞑想
目を閉じて鼻呼吸をし、心と体を落ち着かせます。
(1) 選ぶ
強い悲しみ・悔しさ・喪失感を感じた出来事を1つ選びます。
(2) 書き出す(最低20個)
その出来事があったことで、結果的に得られたギフトを書き出します。先ほどの5つの視点を行き来しながら、「あの出来事のおかげで…」というかたちで、最低20個を目指してください。
5つの視点
①直接的メリット(時間・お金・環境):その出来事によって、実際に生活や環境がどう変わったか
②間接的メリット(連鎖して起きた変化):その出来事を発端として、あとから連鎖して起きた変化や、別の道が開けた経験。「あの出来事があったから、その後の○○につながった」と振り返って言えるもの
③知識・スキル・経験値のメリット:学びとして、確実に身についたもの
④人間関係のメリット:実際に変化した関係性
⑤回避のメリット(重要):その出来事があったからこそ、実際に起きずに済んだトラブル・苦労・消耗
ワークを終えたあなたへ
20個書き終えた今、その出来事をもう一度思い出してみてください。
以前のような、胸が締めつけられる感覚、重たい感じは少し変化していませんか。
もし、「まあ、あれはあれで自分にとって必要なプロセスだったな」と思えたなら、あなたはすでに過去との関係を変えることに成功しています。
過去の出来事を変えることはできませんが、あなたの中での位置づけは確実に変わったのです。
明日からは、この新しい視点を使って、怒りという感情を扱っていきます。








