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次々と現れる新ウイルス…なぜ21世紀に感染症が大流行するのか

2015年01月15日 公開

岡田晴恵(白鴎大学教授)

地球温暖化と流行地の密接な関係

一方、エルニーニョ現象やCO2排出量の増加による地球温暖化の影響もあって、動植物や病原体を媒介する昆虫などの生息地域、生体分布が変化している。

この気候変動に連動して、感染症の流行地域にも変化が起こっている。

2014年夏、日本国内では、60年以上感染事例のなかったデング熱が発生した。デング熱の流行する東南アジア等の国々と交流が激しい昨今では、デングウイルス感染者の入国は避けがたい。さらにデング熱の流行の背景の1つには、気温上昇がある。

デング熱を起こすデングウイルスは東南アジアや南アジアなどの熱帯地域、亜熱帯地域に分布しており、主にネッタイシマ蚊を媒介にして感染が広がる。ネッタイシマ蚊は日本に生息していないが、媒介力のあるヒトスジシマ蚊の生息域が東北地方まで北上しているのである。このため、海外で感染した人が帰国して発症したとき、ヒトスジシマ蚊に刺されると、そこから感染が拡大することが流行の原因として挙げられた。

地球温暖化と関係して論ぜられる感染症では、世界的な海水温の上昇で、流行地が北上しているコレラがある。コレラについては後にも述べるが、海水温が上昇するとコレラが共生している海水中のプランクトンが増殖しやすくなり、これにともなってコレラ菌も増えると考えられている。

バングラデシュでは、海水温と海面の上昇した年にコレラ患者の発生数が増加し、1990年までコレラの集団発生がなかった南米で、エルニーニョ現象によって海水温が上昇した年にはコレラの流行が起こった。

エルニーニョ現象によって降水量の増加した地域で松の実が大豊作となり、それを餌とするネズミが大発生。ネズミ由来のハンタウイルスによるハンタウイルス感染症が発生し、多数の犠牲者が出た事例もある。

一般的に新興感染症は、人がほとんど感染していなかった新規の病原体による感染症なので、基本的に多くの人は基礎免疫をもっていない。さらに、ほとんどの場合ワクチンも未開発で予防ができず、ウイルスによる疾患では薬も研究途中で、対症療法による治療しかない。

発生地域での早期の封じ込めが重要となるが、人が多く混沌としている都市の一隅に病原体が侵入した場合にはコントロールが難しくなり、医療機関が整備されていない地域では、流行拡大が深刻となる。医学が進歩し、創薬がさかんに研究される現代でも、病原微生物のほうがはるかにその先を進んでいる感は否めない。

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