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後継社長なら身につけておきたいコミュニケーション能力~第一印象と肯定的な言葉

鑄方貞了

2017年01月18日 公開 2017年01月18日 更新

相手の心を動かす言葉を身につける

人を動かすには、まずその人の心を動かさなければなりません。相手の心を活き活きとさせるような効果的な「ひと言」を覚えさせましょう。

ストレートな褒め言葉

喜びの感情を伝えるには、ストレートに「それ、すごくいいね!とても素晴らしいね!」「ナイス!やるね!」と、短く率直に褒めることです。恥ずかしがらずに素直にこちらの気持ちを表わせば、相手も最高の喜びを感じてくれます。

難しい仕事を頼む時は、「なら」「しか」

「君ならできる」「君しかいない」と頼めば、頼まれたほうは「それほど頼りにされているなら」と心を動かします。「この仕事はすごく難しいけれど、君ならできる。頑張ってほしい」「この問題を解決できるのは君しかいない。頼みにしているよ」という具合に期待感を伝えましょう。

指示や命令をする時は、「○○時までに頼む」

締め切りを示すことで、相手は「○○時までにやらなければ」という気持ちが強くなります。例えば、「この書類は明朝9時からの会議で使いたいので、今日の夕方5時までに作成してほしい。よろしく頼む」と、具体的に締め切りの理由も伝えれば、責任感を持たせることができます。

相手への関心を示す時は、相手の名前を呼ぶ

「○○さん、この件をどう思いますか?」と相手の名前を呼ぶことで親しみが増します。些細なことですが、初対面の時には特に大事です。

相手の努力には感謝の言葉…相手の努力に対し、「ありがとう、よく頑張ったね!」と厚く感謝の言葉をかければ、相手の心に響き、さらに奮い立たせるものです。例えば、成果は小さくても相当な努力をして成約してきた部下に、「君がよく頑張ったのはわかっている。よくやった。ありがとう」と感謝の言葉で報いることで、部下は「自分のことをしっかり見ていてくれたんだ。次も頑張ろう!」とやる気を出してくれます。

話をまとめる時は、「……でいかがでしょうか?」

相手の意向を確かめ、相談の形で話をスムーズにまとめるにはこうした言い方が最適です。後継者が自分より経験豊かな社員や取引相手に対して用いれば、「一緒に決めましょう」というメッセージにもなり、気持ちよく話をまとめることができます。

部下が仕事で行き詰まっている時は、「一緒にやろうか」

部下への関心を示し、協調的なスタンスでサポートする言い方です。言葉の通り、部下の調子が出るまで一緒に走ってあげることが大切です。このひと言は部下に手を差し伸べるとともに、信頼感と勇気を与えます。

以上のようなコミュニケーションは、ある程度の経験を積んだ人にとっては基本的なものですが、若い人たちの中にはこれらができていない人が少なくありません。自分では気づきにくいことなので、後継者の話し方によく注意して、しっかり身につけさせるべきでしょう。


鑄方貞了(いかた・ていりょう)

1974年関西大学法学部卒業後、タイガー魔法瓶株式会社に入社し、特許、営業、製造、商品企画、人事、経理を担当。1990年に繊維商社の役員として数々の部門を担当した後、1995年アクティブ経営研究所を設立。人材開発・経営コンサルタントとして、経営戦略立案、営業、組織活性化など、多くの分野で活躍している。

※本記事はマネジメント誌『衆知』2017年1・2月号、連載第4回「リーダーに育てるためのポイント」より一部編集、抜粋したものです。

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