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起業家の言葉:孫正義「最も重要なのは志と理念。」



2011年12月14日 公開

ビジネス哲学研究会(編)

《ビジネス哲学研究会:編著『思考の壁をやぶる起業家の言葉』より》

はじめに (ビジネス哲学研究会)

「これからの競争社会の命運を左右するものはイノベーションだ」といわれている。では、イノベーションは、どうすれば生まれるものなのか。一言で表現すれば、「不満の火を燃やすこと」ではないだろうか。

 人間の頭脳はかなり保守的で、思考の習慣を変えるのはむずかしいものである。そのままの生活を送っていると、昨日のままの頭で今日のことを考え、さらに明日のことを考えるという、安定思考の繰り返しになってしまう。

 真の起業家、開発者は、「みんなが満足している状態では満足せず、現状を不満と思い、その解消に全力をあげている人」である。「必要は発明の母」というが、「もっとこうしたい、ああしたい」という不満こそが新しいアイデアを生み出すのである。

 もちろん、誰でも1つや2つ、それなりのアイデアをもち、提案することはできるだろう。しかし組織では、新しいアイデアは反対されるケースも多い。そんな反対の波をうけながらも開発を成功させるまでには、強い信念も必要とされる。

「アイデアを出すことはでもできる。しかし、それよりもっとむずかしいのは、そのアイデアを実行に移すことだ」
と本田宗一郎は語っている。

 このたび上梓した『思考の壁をやぶる起業家の言葉』では、「強い信念を持ち続ける」「発想の転換をうながす」「未来を見据える」「努力を忘れない」「失敗を恐れない」「お金に惑わされない」などの点から、どうすれば開発力をつけ、それを開花させられるか、優れた人々の言葉から考えてみることにした。

 そのどこかのページが、新しい分野に挑戦し、成功させるための、なんらかのヒントになれば幸いである。

☆ここでは、本書に収録した90人90の言葉から2つをご紹介します

最も重要なのは志と理念。
2番目がビジョン、3番目が戦略です。

孫正義(1957~):自動翻訳機を考案・ソフトバンク設立
 

 孫正義は、佐賀県鳥栖市で生まれた。父はパチンコ店や喫茶店などを経営しており、その影響を受けた孫は、幼い境から商才に長けていた。彼の才能には父親も一目置いていた。新しい事業を始めるときには、小学生の孫に必ず相談したという。

 1973年、九州随一の進学校・久留米大学附設高校に進学したが、孫はアメリカに留学するつもりでいた。アメリカで何をすべきか――孫は藤田田(日本マクドナルドの設立者)の意見を聞くため、単身上京。最初は門前払いをされたが、それでもあきらめない孫に藤田の方が脱帽し、ついに社長室に通されたという。藤田に「コンピュータを学びなさい」と助言された孫は、高校を二年で中道。サンフランシスコのセラモンテ高校を経て、ホーリーネームズ大学に進学。さらにカリフォルニア大学へ編入した。

 1979年、孫は自分が考案した自動翻訳機をシャープに一億円で売り込むことに成功。その金を元手にして、アメリカでソフトウエア開発会社ユニソンワールドを設立。インベーダーゲームを日本から輸入し、大成功をおさめた。

 1980年にカリフォルニア大学を卒業すると帰国。福岡県でユニソン・ワールド(こちらはコンピュータの販売を手がけた)を、さらに同年、日本ソフトバンクを設立する。社員はアルバイト2人だったが、「10年後には年商500億円の会社にする」と豪語していたという。それを聞いた2人のアルバイトは呆れ返り、まもなく辞めてしまった。しかし、孫は事業を拡大し続け、その言葉を実現させた。その後、社名をソフトバンクと改めて株式を公開。米ヤフーと合弁してヤフー株式会社を設立するなどして資産を増やし、現在では世界長者番付でトップテンの常連となっている。

 新しいビジネスやプロジェクトをスタートさせる際、最も気になるのは資金だろう。しかし、それだけを考えていては成功はおぼつかない。大切なのは自分が何をやりたいのか、そして何をすべきなのかという明確な志と理念である。しっかりとした考えを持ってスタートすれば、壁にぶち当たっても乗り越えることができるはずだ。

カニのように、横に逢ってでも前進せよ。

 江崎利一(1882~1980):グリコキャラメル開発・江崎グリコ設立
 

 江崎利一は、佐賀県神埼部蓮池村(現在の佐賀市)で生まれた。生家は薬屋だったが生活は苦しく、小学校にも満足に通わせてもらえなかった。

 高等小学校だけは卒業できたが、父親が急逝。家には莫大な借金が残された。江崎は薬の販売や書類の代書などを続け、その借金をわずか数年で完済。だが、日露戦争が始まり、看護兵として参戦。翌年には負傷して帰還した。

 商売を再開した江崎が目をつけたのは、地元から空のまま大阪へ送り返されるというワインの空き瓶だった。「送り返すだけなんて、もったいない」と考えた江崎は神戸からワインを仕入れ、その空き瓶に詰めて販売しはじめた。

 その後、江崎は牡蠣(かき)の干し身を作る際に捨てられていた煮汁にグリコーゲン(肝臓や筋肉などに含まれる多糖類の一種。エネルギーの源ともいわれる)が大量に含まれていることを知り、キャラメルに混ぜて販売することを思い立った。

 当時、すでにキャラメルは森永製菓や明治製菓などから発売され、周囲からは強い反対を受けた。しかし、「ウチのキャラメルは、ただの菓子ではなく栄養菓子だ」という自負から販売を決断。1921年に「合名会社江崎商店」を設立し、翌年から「グリコ」という名前でグリコーゲン入りキャラメルの販売を始めた。

 当初は商品を置いてくれる売り場さえなかった。売り上げが少しずつ伸び始めた後には、「まずい」「陳列中に溶けてしまって売り物にならない」という苦情が寄せられた。会社はつぶれる寸前で、江崎は川に飛び込んで死のうと思ったこともあったという。

 商品を改良し、商売が軌道に乗り始めたのは、発売から三年後である。1929年に株式会社に改組すると同時に、利一は社長に就任する。そして、キャラメルにおまけを付けることによって、さらに売り上げを伸ばしていったのである。

 目の前に大きな壁が立ちはだかってにっちもさっちもいかなくなる場合がある。こんなときは正攻法ではなく、いままでとはまったく違ったアプローチ――たとえば、カニのように横に這って突破口を探してみるといい。視点を変えると、思わぬ道筋が見えてくる。

書籍紹介

イノベーションを起こす! 思考の壁をやぶる起業家の言葉
ビジネス哲学研究会 編著

スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツ、孫正義、ジェリー・ヤン……イノベーションを起こした古今東西の起業家たちは、何を考え、どう決断し、新商品・新事業を開発してきたのか。彼らの名言からアイデア・発想のヒントを学ぶ!
「太陽光も一点に集めなければ発火しない」
「必要以上の正確は、時間と経費のロスである」
「ほとんどの人は、成功を収める寸前にあきらめてしまう」
「川の水は流れているから腐らない」
「何をやらないのかを決めるのは難しい」
「今開発した商品が一品も売れなくなる研究をせよ!」
――ビジネスに活かせる珠玉の言葉を満載!

 



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