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ジョブズも学んだ「禅」の精神をプレゼンに活かす

ガー・レイノルズ(『プレゼンテーションZen』著者)

2012年01月06日 公開 2022年12月26日 更新

ジョブズも学んだ「禅」の精神をプレゼンに活かす

世界各国でベストセラーになった『プレゼンテーションZen』。そこで提唱されているのは、日本の伝統文化である「禅」の精神をプレゼンに活かすというアプローチだ。

一見、無関係に思える禅とプレゼンにどのような関係があるのか? 著者のガー・レイノルズ氏は、現在、奈良に自宅を構える。パリ出張への出発前日に、勤務先の関西外国語大学でお話をうかがった。

※本稿は『THE21』2012年1月号 [すべらない「プレゼン術」]より 一部抜粋・編集したものです》 

 

日本人のプレゼンはつまらないものが多い

ガー・レイノルズ氏は、ハワイ大学大学院で異文化コミュニケーションとビジネスを学んだのち、日本で住友電気工業((株)に勤務、さらにアメリカのアップルに移った。現在は世界を舞台に活躍している。その経験から、日本にはつまらないプレゼンが多いと話す。

「日本でも、ほかの国でも、悪いプレゼンの特徴は同じです。長すぎる。情報だけでストーリーがない。何が大切なのかがわからない。だから、つまらない。その点で、文化の違いはありません。

しかし、ほかの国に比べて、とくに日本にはつまらないプレゼンが多いと思います。

 『念のために』と何でも情報を詰め込み、上司から『これも入れておけ』といわれれば、それも入れる。そうしてスクリーンは文章だらけになる。聴き手はスクリーンのどこをみればいいのかわからず、疲れる。プレゼンターがスクリーンに映った文章を読み上げるのを、聴き手は我慢して聴く。これではつまらないに決まっています。

プレゼンで重要なことは、ほんとうに大切なことにフォーカスすることです。『あれも、これも、みんな重要です』というのは、何も重要ではないといっているのと同じです。

プレゼンターは、不必要なことを削らなければなりません。詳細な情報が必要であれば、ハンドアウトにして渡せばいいでしょう。ところが、ハンドアウトをそのままスクリーンに映してしまっているプレゼンが多い。

何でも詰め込んでしまうのは、間違いを極度に恐れる文化があるからではないでしょうか。間違えることのリスクを大きく捉えすぎているのです。

また、日本には『起承転結』という言葉があるにもかかわらず、驚かせる部分やクライマックスがなく、ストーリー性がないプレゼンも多い。情報を並べているだけなのです」

日本人には、人前で話すことに対する苦手意識をもっている人が多いのではないだろうか。その原因の1つは教育にあると、レイノルズ氏は指摘する。

「日本でも、学校に入る前の子供はとても元気で、自信があり、遠慮することがありません。

しかし、学校に入ると変わってしまい、18歳くらいになると、内気で自信をなくしている人が多い。そのため、自分のことを相手にうまく伝える、つまり、プレゼンすることができない。

SMAPや明石家さんまさんのようなタレントは自分とはまったく違う人たちで、彼らのように自分を表現することはできないと思い込んでいます。

それは、日本の学校では目立つと先生に煙たがられてしまうからでしょう。『出る杭は打たれる』のです。

プレゼンをする機会があっても、自分のアイデアや考えを話すのではなく、本に書いてあるようなことを話すことが多い。

一方、アメリカの学校では、ディスカッションや創造性が重視されます。とくに大学では、自分のアイデアや考えをプレゼンする機会がとても多い。
アメリカの学校もいい学校ばかりというわけではありませんが、この点が日本の学校とは違うと思います」

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スティーブ・ジョブズも“禅”を学んでいた

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