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生き方

ある日突然、過呼吸で倒れた30代エリート

中島 輝(心理カウンセラー)

2018年03月04日 公開 2023年09月08日 更新

いつもと違うことをやりはじめたら危険?

実はこうした過呼吸の発作が起こる以前に、何らかの前兆が現れていたはずです。たとえば、腰痛や動悸などの身体的な症状もあったに違いありません。でも、仕事ができる人ほど、ただの疲労だと判断してしまいやすく、本来は休むべきところで逆にアクセルを踏み込んでしまいやすいもの。Aさんもそうやって不安要素を心の底に押し込み、仕事に没頭してきたということでした。

さらにそうした体調の変化とは別に、日常生活にちょっとした前兆が見られることもあります。たとえば、なんだかやたらと甘いものが欲しくなるとか、お酒を飲む回数がいつの間にか増えているとか、通常のルーティンから外れた行動をとりたくなったとしたら、ちょっとした危険信号かもしれません。そうした些細な前兆に気づき、症状が進まないうちに身体と心を休めることが、過呼吸を予防する一番の方法だと思います。

 

発作が来たら「倒れてもいい」と考えよう

 そうした心身が示す前兆を見落としていると、限界を超えたとたんに突如、症状が噴き出してしまいます。仕事が原因となる過呼吸の発作が起こるのは、Aさんのケースのような日曜日や、会社に出勤する前が多いと言われます。

私自身もかつては過呼吸に悩まされていましたが、もっとも頻繁に起きていたのは実家の借金を背負うことになった25~28歳のころ。とくに借金の取り立てが来る月末が近づくと、発作が激しく表れるようになっていました。

そうした経験をもとに、発作が起きそうなときに私がやっていたのは、「我慢するのをやめること」でした。息が苦しくなって倒れそうだと思うと、なんとか堪えようと頑張ってしまいがちなのですが、実はこれが逆効果。むしろ「いいや、もう倒れちゃえ」と思ったほうが、症状が軽くすむことが多いのです。

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著者紹介

中島 輝(なかしま・てる)

心理カウンセラー

心理カウンセラー。小学4年生のころから双極性障害などの心の病に苦しみ、25歳で実家の借金を背負い込んだことからパニック障害と過呼吸の発作が悪化。その後10年にわたって引きこもるも、その中で独学で心理学やセラピーを習得し自らに実践して35歳で克服。現在まで1万名を超えるクライアントに心理カウンセリングを行い、その95%が回復している。著書に『大丈夫。そのつらい日々も光になる。』(PHP研究所)他、多数。

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