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生き方

ある日突然、過呼吸で倒れた30代エリート

中島 輝(心理カウンセラー)

2018年03月04日 公開 2023年09月08日 更新

「飴やガム」を持ち歩くのもいい

 そしてもう一つの方法が、来そうだなと思ったときに気を紛らわせることでした。私の場合、いつでもすぐに飴を取り出して舐められるようにしていました。そうすることでドーパミンが分泌されて気持ちを落ち着かせることができるのです。飴以外でも、ガムやメントスなどでもかまいません。また、裂きイカも意外と効果があります。簡単に噛み切れないので、一生懸命噛むことに集中していると、気持ちを紛らわせることができるのです。もしも過呼吸の発作に悩んでいる人がいたら、この方法は一度試してみるといいかもしれません。

また、いまならスマホも便利なツールです。自分の好みの画像や音楽を保存しておけるので、いざというときはそれを見たり聴いたりして気持ちを落ち着かせることができるのです。自分にとって「快」の感情を引き起こすもの、例えば愛する家族の写真をいつでも眺められるようにするだけでも、効果はあります。

 

回復のための4ステップとは?

 それでも一度、発作を起こしてしまうと、なかなか回復しないこともあります。「こんなことでは社会復帰できなくなってしまう」と思い悩んでしまう方も、少なくはありません。でも、あまり心配する必要はありません。私自身も長く苦しんでいた状態から無事、回復することができました。その経験をもとに、過呼吸から回復するための4つのステップを説明しましょう。

まず最初のステップは、「自己認識」。自分自身のいまの状況をしっかりと可視化し、把握することが求められます。可視化とは、自分がいまさらされているストレスや不安を、10段階のうちどのレベルか数値化すること。そうすることで、過呼吸になってしまった事実を拒否するのではなく、肯定しやすくなります。

そして二番目のステップは「自己受容」。先ほど書いたように、過呼吸に陥ってしまう人というのは「やり遂げる力」がありすぎる人なのです。でも、発作を起こしたことで自分を否定してしまう人が少なくありません。だからこそ、「自分自身にはやり遂げる力がありすぎたためにこうなったんだ」と認め、「だからいまは休んでいてかまわない」という方向に思考を向けることが重要になってきます。そうやって割り切ることで、この二つ目のステップはうまくいくようになります。

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子どものころに立ち返ってハッピーの素を探そう

著者紹介

中島 輝(なかしま・てる)

心理カウンセラー

心理カウンセラー。小学4年生のころから双極性障害などの心の病に苦しみ、25歳で実家の借金を背負い込んだことからパニック障害と過呼吸の発作が悪化。その後10年にわたって引きこもるも、その中で独学で心理学やセラピーを習得し自らに実践して35歳で克服。現在まで1万名を超えるクライアントに心理カウンセリングを行い、その95%が回復している。著書に『大丈夫。そのつらい日々も光になる。』(PHP研究所)他、多数。

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