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盛岡の小さな書店が出版社の熱視線を集める理由

2018年07月26日 公開

田口幹人(さわや書店フェザン統括店長)

田口幹人(さわや書店フェザン統括店長)

<<ネット書店の台頭、市場の縮小、「書店空白地域」の急増──。この時代における、リアルな本屋の存在価値とは?「まちの本屋」の活路はどこにあるのか? 注目の書店員が実践している本の売り方とは。>>

 

一冊の本を売るということに対する情熱

僕の勤める、さわや書店フェザン店は、盛岡の駅ビル内にある書店です。通勤・通学、旅行、出張など、多くの人が一日中行き交っています。

三〇万都市の駅ビルという特徴を考えれば、売れ筋とスピードに徹して商売をする、という方法もあるかもしれません。

しかし僕たちはそうは考えていません。こだわっているのは、独自色を鮮明に打ち出す、ということです。

世の中に本屋はたくさんあります。盛岡にもたくさんある。大型店もあるし、複合型の本屋もある。

扱っているのは、本という同じ商材です。しかも利益率も同じ。こうした状況だからこそ、自分たちは何をしていけばいいのか、という姿勢が問われると思っています。

僕たちが大事にしているのは、「一冊一冊にこだわりを持って売る」ということに対する情熱です。

これだけは負けないぞ、という気持ちです。

そこから、思いの丈をぎっしり書き込んだパネルをつくったり、POPがどんどん大きくなっていったり、最終的には一冊の本の解説を自分たちでつけてしまうまでになりました。しかも、それは他の本屋ではほとんど押し出していない本だったりします。

でも、こうした想いは間違いなくお客さまに伝わります。ちょっとこの本屋は違うぞ、と思ってもらうことができる。独自色はお客さまに鮮明に伝わるということです。

自分が求める本を探しにいらっしゃるお客さまには、POPやパネルなど必要ありません。むしろないほうがいいのかもしれません。

あえて言えば、探している本の次の一冊の選択肢として、出会いを演出できればと考えています。思いもしなかった新たな本との出会いもまた、本屋を楽しむ醍醐味です。その出会いが、店とお客さまをつなぐのだと思います。

(次ページ:POPやパネルをつければいいわけではない)

POPやパネルをつければいいわけではない >

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