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社会

政治家も官僚も怖れる「ネットの炎上」 世論には貧困を救う力がある

阿部彩(社会政策学者),鈴木大介(ルポライター)

2018年10月30日 公開 2023年01月30日 更新

簡単には動かない財務省も、世論からは逃れられない

(阿部)だけど唯一動かないのが財務省で、彼らはお財布を握っていますからね。法律をつくるのは簡単なんですが、その運用には財務省の判断が必要。

でも財務省をも渋々ながら動かすことができるのは、やっぱり世論の力だと思います。どんだけ新聞とかテレビとかに騒がれるかです。新聞やテレビ、そして最終的に国民感情をどれだけ動かすことができるかなんです。

(鈴木)なるほど。最後に動くのが財務省。その財務省を動かすのも最終的には世論。たかが世論、たかがメディアって思ってきたけど、責任重大ですね。

新聞屋さんならともかく、正直僕はあくまでフリーランスの雑誌記者上がりですから、まさかそこまでとは考えたことがなかった。具体的には、新聞の論説委員みたいな人が発言していけばいいということでしょうか。

(阿部)もちろん無視されますよ、最初のうちは。でも、続けていけば大きなパワーになり得る。風が吹き始めたら、「予算をカットしなきゃいけないのはやまやまなんですけど、とにかく世論が厳しいんで」となったりするものなんです。私たちには意外と力があるんです。

子どもの貧困対策に限って言ったって、法律ができたのも2008年以降の世論の盛り上がりだと思うし、児童扶養手当の二人目以降の給付額アップや父子世帯を対象に加えたのも、具体的なイシュー別にマスコミや議員や世論に働きかけてきた人々がいたからです。

だけど、世論は逆風にもなる。生活保護バッシングなんかが典型的ですけど、世論が逆方向を向いて吹いているときには、どうあがいたって政策が拡充されることはないし、いとも簡単に厳しい方向に改悪されます。

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