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生き方

本が読めなかった精神科医を救った「三角読み読書術」

名越康文(精神科医)

2018年12月14日 公開 2022年08月16日 更新

本と本とを行ったり来たりの「振り子読み」

ひとつのことに集中することが苦手な私ですが、それにもかかわらずある程度の読書量をキープできているのは、この「三角読み読書術」のおかげです。

ツイッターがメモ代わりなので、だいたいの本はノートにメモなどしません。絶対に重要な本についてはノートをとってきましたが、最近はほとんどとりません。

本への書き込みもしません。そもそも、常備している空海の本は書き込みができないほど難しいですから、そのときに合わせてランダムに何ページか読んで、咀嚼して、ありがたいお経みたいに読んでいます。「お経読み」です。

空海の著書は角川ソフィア文庫から何冊か出ており、そのうちの『三教指帰(さんごうしいき)』『秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)』『「即身成仏義(そくしんじょうぶつぎ)」「声字実相義(しょうじじっそうぎ)」「吽字義(うんじぎ)」』『般若心経秘鍵(はんにゃしんぎょうひけん)』のいずれか1冊をカバンに入れています。

たった1行でも知識だけでは理解しきれないことが書いてあり、短歌や詩のように1行をじっくり考えながら読みます。これら空海の著書は、そうやって一生読み続けると思います。

空海自身の著作を読みつつ、僧であり仏教学者でもある金山穆韶(かなやまぼくしょう)先生や中村公隆(こうりゅう)大阿闍梨の仏教(の中でも密教)の解説本を読んで、そしてまた原本を読むというように、行ったり来たりの「振り子読み」です。

読書が苦手な人は、読書が好きな人のような読み方では読めません。無理に読もうとすると、余計いやになります。読書嫌いには読書嫌いなりの読み方があるのです。

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