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毎日トクをしている人の秘密(名越康文)

2012年02月27日 公開

名越康文(精神科医)

名越康文

本稿は名越康文著『毎日トクをしている人の秘密』より一部抜粋・編集したものです

 

不安を減らせば楽になる
不幸よりも不安のほうが問題

小市民的な幸せを守るために多大な労力が費やされ、その結果、追い詰められてしまうケースが少なくないとすれば、人生における辛いこと、あるいは人を追い詰めるような要素を少しずつでも減らしていき、少しでも「楽になる」ことを考えてみるというのは、幸福を考えるうえでひとつの確実な方向性になると思います。

では人生で何が一番辛いかと考えてみましょう。もちろんいろいろあるとは思いますが、あえてひとつを選ぶのであれば、僕は「不安」をあげます。

不幸というのはあいまいな概念ですし、先にも述べたように、「私は不幸だ」と口にしたとしても、その人が不幸だとは限らない。でも、不安は、その人自身が感じているリアリティです。これは否定しようがないし、苦しいものは苦しいわけですから、これはなんとかしたほうが絶対いい。

「毎日毎日、不安でしかたない」という人は、例えば会社であれば、働くことがどんなに辛くても、辞めたらどうなるか不安だから働き続けることになるでしょう。学生生活、子育て、その他もろもろ、あらゆる社会的ルールから外れることが恐ろしい不安にかられた人の心は、本当に汲々(きゅうきゅう)としてしまいます。

拙著 『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』 (角川SSコミュニケーションズ、2010年)をはじめ、講座などで僕が繰り返し主張していることは、「僕らを苦しめているもののほとんどすべては“怒り”に起因する」ということです。この世に生まれてから、僕らはほとんど例外なく、怒り続けており、そのことによって苦しみ続けています。

ここでいう「怒り」は、怒鳴ったり、ケンカをしたりというものだけではなく、さまざまな形を取って表れる感情をいいます。

例えば僕らは日々、イラッとすることがありますね。スーパーのレジに並んでいて、前のお客さんがカバンの中を探っているけれどなかなか財布が出てこない。そうこうしているうちに隣のレジに抜かされてしまった。このときに生じるイラッとした心の動きは、怒りそのものです。一度静かな気持ちで今日一日を振り返ってみてください。そうした大小さまざまな怒りが、いかに僕らの感情の中核を占めているかがわかると思います。

「怒り」は、仏教では「瞋(しん)」という概念で表現されます。「瞋」こそが、僕らを消耗させているものの正体だというわけですが、実は、「瞋」という概念は僕らが通常考える「怒り」よりも広く、例えば不安も怒りのひとつの表れと考えます。

いきなり「不安も怒りの表れです」といわれてもピンとこないようであれば、具体的な場面を思い浮かべてみましょう。例えば、明日会社や学校でプレゼンをしなければいけないが、そのことが不安で不安でしょうがないとします。

その不安の正体を探っていくと、「なんでもっと準備しなかったのか」という自分への怒りや、「みんなが“つまらないプレゼンだったな”と怒っている姿が目に浮かぶよ。嫌だなあ」という嫌悪感であることがわかってきます。そして不安、嫌悪感を含めた概念である「瞋」、あるいは「怒り」を減らしていくことで、楽に生きられるようになる可能性が開かれます。

では「怒りを減らす」にはどうしたらいいのでしょうか。実は、実生活において怒りや攻撃性を減らそうと思う場合には、「不安」をターゲットにするのが一番近道となります。

というのも、僕らの怒りの背景には不安が存在していることが非常に多いからです。あるいは、不安を背景にもつ怒りや攻撃性、欲望は、度を越してしまいやすいということもいえます。「もしこうなったら大変だ」「何が起こるか心配だ」といった不安は、とめどなく怒りにエネルギーを注いでしまうことになりがちです。

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