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モラルが高く、失敗を恐れない(自立・自由度の高い) フェロー(社員)の力で、超高齢社会の難題に挑む豊泉家グル―プ

田中成和(豊泉家グループ代表)

2019年06月06日 公開 2019年06月07日 更新

モラルが高く、失敗を恐れない(自立・自由度の高い) フェロー(社員)の力で、超高齢社会の難題に挑む豊泉家グル―プ

<<大阪を地盤に介護・医療事業を展開する豊泉家グループ。介護事業を行なう社会福祉法人、医療事業を手掛ける医療法人、地域社会貢献活動を担うNPO法人の3法人を中心に構成され、三位一体の運営で地域社会福祉貢献事業を展開しています。

2019年度のグループ全体の売上高(見込)は100億円超、介護事業で30億円、医療事業は60億円、その他事業で10億円程度を予定しています。社会福祉法人の売上規模、さらに利益率の10%超えは日本有数であり、特筆すべき存在になっています。

さらにフェロー(社員)数はグループ総数で、1,500名。このうち介護事業の職員は600名、医療事業は700名、その他事業で200名が勤務しています。介護事業に携わる人員数も日本トップクラスです。

以下、創業者である代表の田中成和氏に、フェロー(社員)のモラルを高め、モチベーションを引き出し、高齢化社会における介護・医療分野の様々な難題解決にチャレンジを続ける経営について話を伺います。>>

 

「チャレンジド」と「シニア」の介護に取り組むという天命

――そもそも、なぜ田中代表はこの仕事を始められたのでしょうか?

田中 1990年、この年が私の人生にとってターニングポイントになりました。同年私はアメリカのサンライズ社とのパートナーシップで、メリーランド州にてアシステッドリビングホーム(Assisted living-home)という老人ホームを共同開発し、社会福祉事業を始めました。

そして同じ年、1歳だった私の二男・三男が2人とも「水頭症」という重い病気を患い、脳外科で手術をすることになったのです。そして特に次男は、余命いくばくもないところまで行きましたが、何とか一命を取り留め、今も寝たきりです。一方、三男は左半身に麻痺が残る状態になりましたが、現在は元気に働いています。

この出来事から私は、「介護事業に真剣に取り組め」という天命を受けたと感じたのです。そして1995年から日本で、本格的に障がい者向けと高齢者向け、それを「チャレンジド」と「シニア」と呼んでいますが、この2つの介護事業に取り組み始めました。

――シニア向けの介護は、アメリカでの経験を活かしながらですね。

田中 そうです。現在、大阪府の豊中市や箕面市、茨木市など北摂エリアと大阪市の住之江区の6か所で事業を展開しています。同時に、チャレンジド向けの介護事業も積極的に取り組み、シニア向けと2本の柱で介護事業を進めてきたのです。

これまではシニア向けが先行していましたが、最近は「チャレンジド」も伸びてきています。今後、医療型の重症心身障がい者の入所施設を200ベッド開設する予定です。将来的には「シニア」と「チャレンジド」を同じ事業規模にまで育てたいと考えています。

――まさに、田中代表の志に基づく重要な使命ですね。一方で、高齢化社会の進展に伴い、シニア向けの介護の拡大と充実も、重大な責務ではありませんか。

田中 もちろんそのようにとらえています。まずは、日本全体のシニア向け介護ビジネスの現状について、問題点をお話したいと思います。

2000年4月、日本における介護保険制度が施行されました。当初3兆6000億円という受給規模でしたが、2018年度には11兆1000億円と、約3倍になっています。

現在は約644万人の認定者がいて、実際の介護保険の給付者は496万人。1人当たりで年間224万円ほどの受給額です。

また、介護保険の認定は、非常に軽い方の「要支援」1と2、「要介護」が1から5という7段階に分かれており、「要支援」1と2、「要介護」1までの軽度の要支援者、要介護者が全体の50%ほどを占めています。

――介護保険の認定者の方の、費用負担は今どうなっているのですか? 

田中 現在のところ、受給者の88.5%が介護費用の負担額は1割です。ただ介護分野も医療分野同様、「少しでも給付を減らさないと財源が不足する」という事態に陥っています。

そこで2021年の介護保険制度の報酬改定のタイミングで、2割負担に移行されていくと思われます。

ご利用者に負担増を強いることになれば、当然、行政からは事業者に対しても厳しい対応が予測されます。すでに「要支援」1と2の介護費用の事業者への支払は、介護保険ではなく、各市町村の総合事業の財源で賄われることに変わりました。「要支援」1と2は介護保険の対象外にするということです。

今後、場合によっては「要介護」1も介護保険の適用から外されるかもしれません。そして公定価格の切り下げが行われるなど、介護事業者の収入が減っていく可能性が出てくると思います。

――受給者数が増えていても、一人から得られる額が減り、全体の収入が落ちていく恐れがあるわけですか。

田中 一方で社会問題になっていますが、介護業界のケアワーカーは一般の方に比べて平均月収が10万円ほど低い。この課題は絶対に解決せねばなりません。

今後介護事業者は、収入が減るかもしれない状況でも、人件費は増やすしかない。その結果、赤字が止まらない介護事業者が、どんどん倒産していく。そんな厳しい現状が、財源不足により加速するかもしれません。

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人財不足に対応する2つの挑戦的な施策

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