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「40歳で年収の2倍」定年後のお金を確保できる“資産の目安”

篠田尚子(しのだ・しょうこ:ファンドアナリスト)

2019年06月14日 公開 2024年12月16日 更新

 

まずは「年収の16%」を目指す

では、資産運用には、具体的にどのくらいの金額をイメージしておけばよいのでしょうか。

フィデリティ退職・投資教育研究所『フィデリティの「退職準備の指標」(2018年11月)』の分析結果によると、想定退職年齢を67歳と仮定した場合、退職後の生活に必要な資産のめやすは、退職時の年収の約7倍。退職金がない場合は、約9倍の資産を準備しておく必要があるとのことです。

「そんなの絶対ムリ!」と思った方、どうか落ち着いてください。

「年収の7倍」(フィデリティ退職・投資教育研究所では、この倍率を「年収倍率」と呼んでいます)という金額は、あくまでも退職までに準備すべき「総額」です。現役時代から少しずつ準備を始めていけば、十分に達成できます。

もう少し金額を分解してみましょう。

私はセミナーなどでよく、資産運用にまわす金額のめやすを、ざっくりと「税引き前年収の20%」とご説明しています。

しかし、より厳密にいうと、この割合は資産形成を始める年齢によって変わってきます。

早くから資産形成を始めれば、それだけ運用の期間を長く取ることができ、途中で「リーマンショック」のようなマーケットの大きな下落に直面したとしても、十分に挽回できる可能性があるからです。結果的に、年収から資産運用にまわす割合は低くてすみ、それでも老後資金の目標額を十分に達成できます。

フィデリティ退職・投資教育研究所では、この割合を「資産形成比率」と呼び、資産形成を始める年齢が25歳なら16%、30歳なら18%、35歳なら20%が必要と分析しています。

最終目標である「年収の7倍」を目指すにあたり、年収の16%を資産運用にまわし、投資信託などに投資をおこなうことで、30歳で少なくとも年収の1倍、40歳で2倍、50歳で4倍、60歳で6倍の資産を準備できていれば「計画線」ということです。

退職金制度がない企業に勤めている方、自営業者やフリーランスの方は、これらの「資産形成比率」と「年収倍率」をめやすに、金額を上積みし、ペースアップしていく必要があります。

働き方やライフスタイルを自分で選べる時代だからこそ、周りのことは気にしすぎず、「自分のことは自分で」を徹底してください。

資産形成の重要さがわかったとはいえ、最初の一歩を踏み出すことに大きなハードルを感じている方も少なくないでしょう。

その点について、私からお伝えしたいのは、「『見切り発車』で構わない」ということです。

資産形成・資産運用に重要な「時間」は、あとからどれだけ悔やんでも戻ってきません。あれこれ悩んでいる時間のほうがよっぽどもったいないと思います。

資産形成の第一歩を踏み出すと、お金のモヤモヤが解消され始め、少しずつ目の前の視界が晴れてきます。細かい調整は、資産形成を始めてからでも大丈夫です。

誰しも、お金と時間は有限です。仕事、趣味、家族、そしてもちろん自分のことも大切にするために、ぜひ、活用できる制度や商品は最大限活用し、資産を着実に増やしていきましょう。

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