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「頑張れ」がNGワードの会社が好調な理由

2019年08月07日 公開

中村朱美(佰食屋:ひゃくしょくや)

 

「早く帰れる」退勤時間は夕方17時台

佰食屋の営業時間は11時から14時半もしくは15時まで。最長でも4時間のみ。この時間で100食を売り切ります。

ですからたとえ正社員でも、どんなに遅くても17時45分には帰ることができます。もちろん、残業はありません。

正社員は勤務時間を自分で決めることができます。出勤は朝の9時か9時半、退勤は16時の時短勤務か、17時、17時半、17時45分のいずれかから選ぶ、という仕組みです。

「いまは子どもが小さいから短時間で働きたい」「月・水・金曜日は、親がデイサービスに通う手伝いがある」子育て中、あるいはご家族を介護している人など、仕事と両立しなければならないことがある人はたくさんいます。

そういった状況に柔軟に対応できるよう、勤務時間にはバリエーションを持たせています。一度決めた後でも、ライフスタイルに変化があれば途中から変更できます。

アルバイトはもっと自由です。1日2時間だけ働いている人もいますし、週2回だけシフトに入る人もいます。

一人ひとりがどれだけ働きたいのか、どんな働き方をしたいのかは、違うはず。ですから、シフトも勤務時間もそれぞれ異なる組み合わせで、多様な働き方が混在しています。

もちろん、有給休暇はみんな完全に消化しています。

長期休暇も土日祝の休みも希望どおり取得できます。「飲食店ではありえない」と思われるかもしれませんが、14連休をとった従業員もいました。
「一人でもいなくなると、お店が回らなくなる?」そんな状況を生み出しているのは、経営者の怠慢でしかありません。

佰食屋では1店舗につき、1日最低でも5人が出勤します。現在、3店舗に対して正社員は13名、アルバイトも含めると30名ほどの従業員数。いざというとき、安心して休めるように、かなり余裕を持って従業員を採用しています。結果として、佰食屋にはさまざまな背景を持つ従業員たちが働くようになりました。

子育て中の人はもちろん、妊娠中の人、就職氷河期世代で正社員経験がなかった人、シングルマザー、ロスジェネ世代、70歳を過ぎたおばあちゃん、難聴という障がいがある人、外国人留学生……。

こうして佰食屋は、経済産業省が認定する「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれるほど、ダイバーシティを実現した会社となりました。

 

目標がたった1つだから上がるモチベーション

佰食屋で働く従業員にとって、目標はたった1つです。

「1日100食売ること。そしてそのなかで、来られたお客様を最大限幸せにすること」。たったこれだけです。

100食を達成するために、みんなが一丸となって視線を合わせながら、仕事を行います。90食を超えるあたりになると、あと10食、9食、8食……とカウントダウン。

そして、最後の100食目を達成すると、「今日もいけたね!」とみんなで讃え合う。営業時間の終わりにそんな爽快な気分が生まれます。

しかも、これが「毎日」です。

この雰囲気がお客様にも伝わったのか、とあるウェブサイトに嬉しい書き込みがありました。

「お客様も多くて忙しそうだけど、みんなイライラしたり、バタバタしたりしているわけじゃない。テキパキとしていて、まるでサッカーをしているような連携があって、それぞれ楽しそうにパスを回しているみたい」。

まさに、佰食屋が目指している姿でした。

朝9時半から整理券を配りはじめて、一気に100枚配り終えてしまう日もあります。そんな日は「どんなお客様が何時に来られるか」を朝のうちからみんなわかっています。ですから、わたしが「いい接客をしてね」と言わずとも、従業員みんなが心に余裕を持って接客することができます。

12時に1歳のお子様がいるご家族が来られる、とわかっていれば、到着される前に子ども用の椅子を設置してお待ちすることもできます。店員に言わなくても子ども用の椅子が置いてあるって、自分がお客様の立場だったらとても嬉しいことですよね。

佰食屋では「従業員のモチベーションアップを図るには」なんて考えたことがありません。

お客様がひっきりなしに来られて忙しいときでも、100食まで、という「終わり」が見えているので、最後のお客様に「本日完売です! ありがとうございました!」とテンションを上げてご挨拶ができる。お客様に、心からのありがとうを贈ることができるのです。

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