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社会

離職率28%の超ブラック企業が背負った「十字架」

山田理(サイボウズ株式会社取締役副社長 兼 サイボウズUS社長)

2019年11月11日 公開 2022年08月09日 更新

 

会社の成果至上主義から、社員の働きやすさ至上主義へ

「もう、何やってんねん、アホや……」

本当に、本当に取り返しのつかないことです。わたしは青野に、こう打ち明けました。

「やっぱり、『良い会社』をつくりたい。みんなが働きたいと思えるような会社を、もう一度つくりませんか? 今ならサイボウズ本体にいる社員は130人くらい。まだ間に合うはずです」

青野は青野で、予定通りM&Aをして事業領域を広げたものの、やはりサイボウズは「グループウェアの会社」だ、創業当初の思いに立ち返るべきだ、という考えを持っていました。

ただ、上場企業である限り成果至上主義は避けられない、と自分の気持ちを抑えていました。けれども、ふたりで話し合う中で決めたのです。

「もうこれ以上、社員たちに無理を強いて、時価総額や売上で世界一を目指すのはやめよう」

「社員同士を競い合わせるのはもう終わりにしよう」

「成果至上主義をあきらめよう」

そして、自分たちの創業事業であるグループウェアに注力してお客様に喜んでもらう、というビジョンを確認し合ったのです。

これまでやってきたマネジメントやルールづくりは、これまでの世の中で「良し」とされてきた施策を取り入れ、徹底的にやってきたものでした。
でも、うまくいかなかった。

それなら、ゼロベースで考えよう。

みんなが働きたいと思える会社にしよう。そのためには何が必要なのか、それを支える制度やマネジメントはどんなものか……。

改めて「理想の会社像」を深く問うように、じっくりと考えていったのです。まさにそれは原点回帰であり、第2の創業期へ向けての第一歩。

目指したのは、「100人100通りの働き方」でした。

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