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「部下が使えない」とボヤく上司が気づかない、若手に見放される原因

成田直人(ジャパンブルーコンサルティング株式会社代表取締役)

2020年04月22日 公開 2022年06月02日 更新

 

「できます」と言われたら、プロセスイメージを共有して手放す

新時代のマネジメントを導入する上ではマネジャー側の方が戸惑うことが多いです。なぜなら、管理を手放すことで主導権は部下が握ることになるからです。

「管理していた方が楽だけどトラブルも多かった。今は事前に相談してくれるので結果的に効率も上がっています」と言ったのは、メーカーのあるマネジャー。

たしかに、自分の影響が及ぶ範囲で部下の行動管理をしていたほうが、不測の事態にも即座に対応することができるかもしれない。しかし、それは安易すぎる妄想に過ぎません。

マネジャーがマネジメントで悩んでいたのが、組織管理上、上下関係がある方が行動管理できると思っていたのに、トラブルが多いのはなぜかという問いかけでした。管理できているはずの組織に、トラブルが減るどころか増える一方である理由を、自ら次のように見事に言い当てました。

「強力な上下関係から不正やトラブルが生まれるのは、怒られたくないという恐怖心から、部下が問題を隠して自分で解決しようと思う姿勢になるから」

本当にその通りで、トラブルが逆に増えるのは、「言いたいことが言えない上下関係」にあったわけです。

みなさんも一度は「なんでもっと早く言わなかったんだ!」と部下に怒ったことがあるかもしれません。

その理由は、部下が怒られたくないため自分で解決しようとして結局解決できず、問題がどんどん大きくなり、自身ではもうどうにもならない状態になってしまっているから。言いたいことが言える関係があれば、こんな大きなトラブルに発展することはなかったはずです。

新時代のマネジメントは、トラブルに発展しそうな事案があれば、すぐに部下から「○○さん相談があります」と部下から言ってきてくれます。

これはひとえに強力な上下関係ではなく尊重をベースにしたコミュニケーションを通して部下が親近感を覚え、限りなく近しい存在であると認知してくれた結果です。

このマネジャーの言うとおり、トラブルが減る分、部下を怒る必要もなくなり、さらには逐一していた行動管理も最小限になったことで、自身の仕事に集中できるようになります。

 

「できます」と言われたら、プロセスイメージを共有して手放す

では部下が「できます!」と答えた場合はどうしたらいいのか?

それは「素晴らしい! じゃあどうやって取り組むつもり?」とプロセスを共有することが良いでしょう。あなたの頭の中の成功プランと部下の認識している成功プランが一致しているかどうかの確認です。

そこで事前に見落としているリスクが発見できれば「今のプランだとこんなこと(リスク)も考えられないかな?」と投げかけることができます。

「たしかに、見落としていました!」とこれで顕在化する可能性の高かったトラブルが一つ解消されることになります。

この気づきはマネジャーに対する尊敬ポイントが一つ増えるので、オススメの関わり方です。その分成功確率も上がり、部下の自信にもつながります。マネジャーは部下の行動を俯瞰して見られる唯一の存在です。

リスクを恐れて何でもかんでもやり方を教えているままではいつまでも部下は依存するし、成長しません。この姿勢に慣れきってしまうと失敗したときにマネジャーの責任にするようになります。受け身から他責は生まれるのです。

まずは、マネジャーから投げかけて部下に考えさせるというプロセスが欠かせません。自分で考えて自分で行動し成果を積み上げるためには時間もかかるし相応の経験も必要です。

チャンスを与えて失敗リスクを最小限にするアドバイスをし、見守ることで最短で一人前に成長します。我慢強く見守る見返りはあなたの管理が減り自分の仕事に集中できる環境を手に入れることです。

たくさんの失敗をして今があるはずです。部下にも「できる」と言ったことは成功イメージの同意が得られたら、あとは本人の意思でやらせることです。

途中経過はもちろん確認してもOKですが、極力口を出さずに期限までの間自由に仕事をしてもらうようにしましょう。

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