育児・主婦業は「無職」ではない!!…仕事復帰を邪魔する“決めつけ”を壊す方法
2020年08月28日 公開 2022年08月01日 更新
会社勤務、出産による退社、夫の転勤、育児への専念…専業主婦時代を経て、その後ビジネス誌のライターへ転身した大洞静枝氏。仕事復帰に際して、主婦であった期間を「キャリアのブランク」と見做されてしまう日本の現実に驚き、かつ仕事復帰まで苦労を重ねたという。
そんな自身の経験から主婦業であることは、「キャリアのブランク」ではないと語る。
子育ての期間を「ブランク」扱いされる現実に愕然
筆者は大学卒業後、生命保険会社に入社し、約7年勤めた後、出産に伴い退社しました。
夫の転勤に伴い住むことになった土地で、4年間、家事と育児に専念。その後、再び夫の転勤で新しい土地に移住し、育児の基盤を一から作り直しながら、次男が1歳半の時に一念発起して専業主婦からビジネス誌の記者へと転身しました(現在はフリーランスライター)。
仕事探しの時に愕然としたのは、子育ての期間が「ブランク」に分類されるということでした。
母親業は尋常ではない責任を伴う上に、未経験の仕事の連続です。当時は履歴書を前に、息つく暇もなかった日々が空白期間になるという事実に、ただただ呆然とするしかありませんでした。会社員と専業主婦、どちらも経験した方は同じような思いをした方が多いのではないでしょうか。
育児期間は決してブランクではありません。上手く企業側にアピールすることで再就職にもつながり得る、人生最大の大仕事なのです。
「ブランクあり」であることを強調され、復帰への自信を失っていく
女性がライフステージによってキャリアを左右されやすい、と最も感じるのは子育て中に社会との距離を感じたときではないでしょうか。
子育ての環境に恵まれ、運よく職場に復帰できる女性もいれば、夫の転勤やワンオペ育児、子どもの体質によって、やむを得ず退職する女性も存在します。
一度、退職してしまった女性たちは、仕事をしたいと思っていても、子育てに追われるうちに復職する機会を逃しがちです。
母親たちの復職を妨げる原因となるものは何なのでしょうか。また、復職までの「ブランク」と言われる期間は本当にキャリアの空白期間にあたるのでしょうか。
7月に厚生労働省が発表した2019年の「国民生活基礎調査」によると、子どもがいる母親が働く割合は72.4%。2004年の56.7%に比べると15.7%も増加し、働く母親が年々増加していることがわかります。
一方、「仕事をしていない」と回答した母親のうち、末子が0歳児の家庭は50.1%と半数を占めます。さらに、末子が4歳の家庭では29.5%、末子が9~11歳の家庭では20.9%と、末子の年齢が上がるごとに母親の働く割合が上昇していることがわかります。
末子がある程度の年齢になるまで、再び働き始めるという選択肢を取りにくいという現状が表れています。
子育てが少し落ち着き、母親たちが仕事探しを始めたとき、最初に目に飛び込んでくるのは、求人広告の「ブランク大歓迎」という言葉です。
「ブランク」と強調されることで、社会との距離を実感し、仕事再開へのハードルが一気に上がります。
母親たちは、子育て一辺倒だった出産後から今までを振り返り、果たして仕事に復帰できるのだろうかと、二の足を踏むことになってしまうのです。
子育てに専念している期間に、当然ながら、社会も随分と変化を遂げています。パソコンのOSがアップデートされたり、市場のトレンドが変わったり、法律が変わったり。
子育てをしていると、アンテナがどうしても子どもに向きがちなので、社会情勢をうまくキャッチできなくなり、情報感度は鈍ります。数年、パソコンや専門知識から離れると、仕事に支障が出てしまいます。