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なぜ「寝ても取れない疲れ」があるのか?

田村広大(予防医療診断士)

2020年09月01日 公開 2022年09月07日 更新

 

「病気は寝れば治る」は誤解?

「風邪は寝れば治る」と言う人がいますね。多くの方は「ちょっとした病気なら睡眠を長くとればいい」と考えがちです。

けれど、じつは「睡眠中に病は進行する」という説があることをご存知でしょうか?

その理由として、次のようなことが考えられます。

■理由1「睡眠中は体温が下がる」
睡眠中、人は体温が1度下がります。人間は体温が1度下がると、免疫力が37%低下し、代謝が17%落ちるといわれています。体温が下がると、毛細血管は収縮し、血流は悪くなります。

そのため、病気をやっつける役割を果たすリンパ球などの働きも悪くなるのです。免疫力が低下し、病気が治りにくくなる理由です。

■理由2「酸素供給量が減る」
寝ているとき、人は呼吸数も減ります。つまり、起きているときに比べて、取り込む酸素の量も減るというわけです。

人の体内には60兆個の細胞がありますが、それらはすべて酸素を必要としています。十分な酸素がないと、老化や病気の原因にもなるのです。特に、脳は酸素を必要としています。

酸素の体内における全消費量の20~25%を脳が消費しているそうです。酸素が不足すると、脳の活動にも支障をきたし、集中力がなくなったり、記憶力が低下したりします。さらに、脳梗塞のリスクも高まるでしょう。

■理由3「水分量が減少する」
寝ている間に、人は意外と多くの汗をかいています。その量は、平均500ミリリットルほど、多い場合には1リットルにものぼるといわれています。体内の水分量にして平均約2%が奪われる計算です。

身体が乾燥すると、免疫力は低下します。また、のどの粘膜が乾燥すると、炎症を起こし、ウイルスを防御する力は弱まってしまいます。

■理由4「排泄ができない」
当然のことですが、寝ている間は排泄ができませんよね。毒素を体内にためたまま、ということです。

睡眠時間が長ければその分、毒素を体内に滞在させる時間が長いということになります。排泄物は身体に不要なもの。それを長期間ためておくことは体内の器官に不調をもたらす原因となります。

そのほか、寝すぎはうつや肌トラブルの原因にもなりえます。これまで「寝ると疲れが取れる」「病は寝て治せ」と思っていたら、今日からその思い込みは捨てましょう。むしろ、起きている時間が長いほうが健康にもいいかもしれませんよ。

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