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筒井順慶と茶器が予感させる「松永久秀の最期」… 『麒麟がくる』が描く“梟雄の行く末”

前田慶次(名古屋おもてなし武将隊)

2020年10月24日 公開 2022年08月15日 更新

 

大重要人物・筒井順慶が登場。松永と因縁の争い

此度の回は、松永久秀という人物の資質が見事に表現されておった。三好の家臣から下剋上を果たし、幕府と畿内の大名、国衆と上手く渡り合ってきた松永の嗅覚が滲み出ておる。

光秀の少ない言葉から「自らの立場が危うい」と知り、すぐに名物を献上。松永は情報通という事を世に知らしめる。

この時に重要人物である筒井順慶が登場!

筒井は反松永派の人間で、松永と戦をして負け三好の力を借りてやり返す。そこで今回の場面になる。松永は、織田の力を借りて筒井を追い払い、信貴山(しぎさん)城を取り戻す。

筒井と松永は因縁の関係、その間を光秀が仲介する。筒井は信長に人質を差し出して仕え、織田軍として非常に良く働き戦う。その結果人質の母を返してもらい、大和守護にまで上り詰める。

これにより松永が信長に謀反、伝えられる「爆破事件」に繋がる。

光秀に大恩がある筒井であるが、本能寺の変では光秀に援軍を求められても動かなかった。

筒井順慶と松永久秀、そして明智光秀のこれからの関係を『麒麟がくる』ではどう描いていくか見所である。

 

摂津晴門の登場が際立つも、実は既に登場していた?

視聴者がもしや最も気になったかもしれぬ登場人物、幕府の政所の頭人(とうにん)、あれは摂津晴門(せっつはるかど)。財政を担う偉い者じゃ。

摂津家は、平安時代から朝廷に仕える法律の専門家の家柄で、エリート一族。鎌倉幕府崩壊後は室町幕府に仕える。摂津晴門は義昭が越前に参った折に、共に来ておった。

兄の時代から将軍家に仕えていた馴染みもあり、政所として起用された。光秀が幕府の財政問題が沢山来ておると細川藤孝に申しておったのが、この摂津。

勝手な行動が原因で、後に摂津は義昭から引退を命じられる。

 

勝龍寺城…明智光秀と細川藤孝にとって重要な意味をもつ場所

緊迫感がある状況においても互いに笑みをこぼすという場面でもわかるように、光秀にとって細川藤孝は特別な人物。共に幕臣となり、二人の親密さは増したように見える。

そんな二人にとって重要な事がおこる。藤孝が勝龍寺城の城主になったのじゃ。

実はこの城は、光秀の娘・たまが藤孝の息子・忠興に嫁ぎ、過ごすことになる城である。また本能寺の後に、光秀が本陣を構えたのが此の城であった。

つまり勝龍寺城は、明智家と細川家にとって極めて大切な城なのである!

 

本國寺の変には、因縁のアイツが参陣していた?

信長が義昭将軍叙任を見届け美濃国へ帰陣、その後、直ぐに三好勢が義昭を襲撃、これが「本國寺の変」じゃ。光秀は現場に留まり、活躍している。歴史上においても光秀の登場はこの頃から。

「歴史的に熱い」と視聴者は唸ったと思うが、儂的には一部惜しいところがあった。

この戦において、先陣を切ったのが斎藤龍興と言われておる。元美濃領主で信長と対決し負けた、打倒信長に燃える男が参陣しておった。

『麒麟がくる』では、美濃攻略が一切描かれておらんため、この戦に斎藤家が参戦していることは紹介されておらんが、皆には信長と斎藤家の争いが続いていることをしってもらいたい。

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