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「言われたことしかやらない部下」を生んでしまう“上司の口ぐせ”

船坂光弘(ホスピタリティ・コンサルタント)

2021年01月19日 公開 2024年12月16日 更新

船坂光弘

初めて部下を持ち、部下との関係を悪化させてしまった話

ところで、あなたがリーダーになって初めて部下を持ったとき、どんなことを考えましたか?

私が前職のホテルマン時代に初めて部下を持ったときには、

「自分がしっかりしなければならない」
「強いリーダーシップを発揮しなければいけない」
「部下のお手本となるようにふるまわなければいけない」

といったことを考えました。

当時、私は宴会予約の部署に所属していて、その部署で昇格したので、昨日まで同じ立場で一緒に和気あいあいとやっていた仲間から、いきなり上司─部下の関係となったのです。そんな状況に戸惑い、リーダーとしてどうやって立ち回ったらいいか悩んでいました。

そのとき私が考えに考えて出した結論は、「メンバーとのそれまでの和気あいあいの関係を捨てて、リーダーらしくふるまう」ということでした。

リーダーらしくふるまうと言えば聞こえはいいですが、当時の私はたんに虚勢を張っていただけでした。部下側から見ると、昨日まで仲間だと思っていたのに、急に上からものを言われるようになったわけです。

仕事とはいえ、「なんだよ急にえらそうに」などと不満に思うのも無理ありません。私とメンバーの間には少しずつ距離ができ、関係性も悪化。業績もそれに伴い、下がっていきました。

 

虚勢を張るから上司は辛くなる

そんなあるときでした。昔から私のことをよく理解している取引先の社長さんが、苦しんでいる私の姿を見て、こう言ってくれたのです。

「船坂さんは、船坂さんのままでいればいいんですよ」

その言葉で私は救われました。

それからというもの、私は虚勢を張らずに「ありのままの自分でいよう」と心に決めました。そして、自分が間違ったことをしたら素直に謝り、自分が困ったことがあれば部下を頼り、良いことも悪いこともメンバーと共有するようにしたのです。

それから徐々に組織に変化が起こり、お互いに思ったことを言い合える風通しの良い組織風土に生まれ変わっていきました。

 

「こうしたほうがいい」は禁句

その後に勤務経験のない部署に異動になったときも、知ったかぶりをするのではなく謙虚に分からないことは分からないと部下に聞く、自分から心を開き、ありのままの自分を知ってもらう、そういった無理のないふるまいをするようになりました。

また、異動したてのときは、「粗」ばかりが気になり、つい「こうしたほうがいい」と言ってしまいがちですが、否定せずに、これまでの尽力に敬意を払い、まずは理解を示すことを心掛けるようにもしました。

このように飾らない、自然体の私に呼応するように部下も構えずに心を開いてくれるようになり、異動先でも早く関係性を築くことができたのです。

 

「リーダーらしく」と無理しないほうがうまくいく

最近、自分の身の丈以上のリーダーシップを発揮しようと頑張り過ぎて、疲れ切っているリーダーが多いような気がします。

しかし、私が今まで出会った優秀なリーダーは、メンバーをぐいぐい引っ張っていくような人ばかりではありません。「寄り添うこと」「見守ること」「優しさ」も大切なリーダーシップです。

そして、あなたはウルトラマンでもスーパーマンでもありません。昨日の自分から変身しようと思わずに、日々自分らしく、そして自分らしいリーダーシップを見つけてください。

きっと自分がリーダーであることに、今以上の喜びがもたらされるはずです。

 

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