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生き方

江夏豊「考えて、工夫してもダメなら、もっと考えて工夫する」

江夏豊(野球評論家/伝説の元プロ野球選手)

2012年02月26日 公開 2022年12月27日 更新

江夏豊1

工夫するなかで決断力をもってチャレンジできるか

自分にとって「運命的」ともいえる人との出会いは、人生を歩んでいくなかで、そう何度もあるものではないでしょう。

しかも、じつはそれだけの人とめぐり会っているのに、自分では気づかずにその人を離してしまうケースもあれば、自分で「この人だ」と思ってつかんだ人が、ぜんぜんそうじゃなかった、というケースもあると思います。

これを「不運」と言うならば、そんな不運に陥らないために、自分で自分の目を養うことが大事です。数多くの人と会って、いろんなことを自分で考えていけば、結果的に運をつかむことはできると思う。そのうえでいちばん大事なのは、工夫すること。私はそういう人が人生で成功するんだと思います。

プロ野球の世界でも、考えて、工夫していない一流選手は一人たりともいません。エースであれ、4番であれ、だれしも工夫しています。才能だけでその座に就いた選手なんて一人もいません。あとは、工夫していくなかで、自分で決断力をもってチャレンジできるか、できないかの違いでしょう。

自分で「こうしたいな。こういうことをちょっとやってみたいな」と思っても、決断力がなければ、いつまで経ってもおんなじレベルで行ったり来たりしているわけです。

でも、「間違ってもいいんだ。自分でいっぺんこれをやってみよう」と決断して、やってみる。結果、それがすべて成功することはないでしょう。半分は失敗するでしょう。けれども決断して失敗したことによって、自分なりに1つ学べば、次のときには、それが生かされるのです。だから、大事なのは、工夫と決断力なんです。

たしかに、工夫していくなかで、「これは自分にできても、これだけは自分にはどうしてもできない」ということに気づくときがあると思います。その見極めができないと、かえって苦しむことになるかもわかりません。

そういう意味では、見極めや切り替えがまともにできる頭のよさ、もしくは要領のよさがあればいいんですが、そういう人はまず少ないと私は思う。たいていは未練たらしく、「なんとかあきらめないで」となるほうが多いでしょうし、そうなると、やっぱり苦しくて、きつくなると思います。

でも、チャレンジするからには、きつい思いをするぐらいでちょうどいい。見極めて、スパッと切り替えてよかった、というのはあくまでも結果論ですから。

1つ、自分にとっていいと思うものを追い求める過程においては、やはり、簡単にあきらめてはダメです。考えて、工夫してもダメなら、もっと考えて工夫する。それぐらい強く追い求めたほうが、たとえ大きな成果が得られなくても、自分にとって必ずプラスになるはずですから。

これはもう、野球だけじゃなしに、どんなスポーツの世界でもそうでしょうし、一般社会の方の人生もそう。

もちろん、それぞれの分野で取り組んでいる内容は違いますし、プロ野球で生きていくとなると、もって生まれた素材、素質が必要になってきます。それでも考え方、そうした姿勢の大切さは、野球界も一般社会もいっしょだと思います。

 

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