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「文章が読めない障害」を乗り越え医師になった人に学ぶ、決して諦めないコツ

2021年12月30日 公開

亀田和利(福住整形外科クリニック代表)、吉澤恵理(医療ジャーナリスト)

 

繰り返すことで克服

「学校の授業についていけなかったこともあり、受験へ向けて中2の時に行った塾が最初の転機となりました。塾の先生は、授業の最初にその日の授業で説明することを黒板に書き、すぐに生徒にノートを取らせます。そして、生徒が黒板を全て書き写してから説明を始めるというスタイルでした。

その授業の方法が私にはとても合っていました。そしてその後にすぐにテストをするとできる。間違えてもテストが全てできるまで繰り返してくれたので自信がもてるようになりました」

塾がきっかけとなり、『できるまで繰り返す』という勉強を地道に重ねた結果、大学は1年浪人し、小樽商科大学へ進学した。

「1,2回の復習するだけでは憶えられず、5,6回復習すると覚えれると発見し、成績があがり公立大学である小樽商科大学に入学することができました。とはいえ、大学でも他の人の3−5倍、繰り返してようやく分かるようになるといった感じでした。」

大量の文献を読まなければいけないという状況に、「このままじゃ卒業できない」と思い、速読教室に行ってみたことが、ディスレクシアを克服する転機となった。

「速読の方法を学び、繰り返すうちにそれまで全く苦手だった本を読むことができ嬉しくなりました」

読むことがスムーズにできるようになると勉強にもモチベーションが沸いた。

「幼い頃から数学は好きだったこともあり、数学科で学びたいという気持ちがありました。そこで小樽商科大学で2年間『仮面浪人』をして、北海道大学の理学部に合格することができました」

北海道大学で好きだった数学を学ぶことができ充実した日々だったが、ある日、友人に数学を教えることとになり、またそれが新たな転機となった。

 

22歳で医学部に挑戦

「22歳の時、医学部を目指し浪人中の友人から『数学を教えて欲しい』と言われ、教えることになりました。そして、医学部入試のための数学を教えているうちに『あれ?これなら自分も医学部に行けるんじゃない?』と思ったんです。

そして同時に小学校の頃、父の配達について行った和田寿朗先生のことを思い出し、更に自分が白衣を着て医師になった姿を想像しました。その瞬間、私も医師を志すことを決めました」

医学部を目指し猛勉強の末、札幌医科大学医学部に合格した。

「札幌医科大学を受験したのは、和田寿朗先生が札幌医大で日本初の心臓移植をした大学病院だったからです」

しかし、医師になるにはさらなる努力が必要だった。

「実は医学部では、2年留年しました。大学生らしく遊びが楽しくなり、勉強が疎かになりました。ディスレクシアは、訓練をしなくなるとだんだんと戻ってしまい、読むことができなくなります。今でも、少し読みづらいな...と思うと速読をします」

こうしてディスレクシアを乗り越え32歳で医師になった亀田氏は、現在、北海道札幌市で福住整形外科クリニックを営む。自身の経験から確信したことがあると言う。

「目標や夢は、明確に持つことが大切だと思います。私は、白衣を着て手術室で手術をしている自分の姿をビジアライゼーションしたときから、そこから意識がすでに医師になっていました。医師だから勉強しなければ...と起きている時間は、勉強に没頭しました。現実に縛られてしまい、未来の可能性を諦めないことが大事だと思いました」

人生は長い...にもかかわらず、人は現在の状況に一喜一憂してしまう。受験だけでなく、事業や人間関係などコロナ禍に様々な悩みを抱える人もいるだろう。

しかし、我々は未来へ向かって生きている。どうか亀田氏のように未来への夢や希望を忘れないで欲しい。

【吉澤恵理(よしざわ・えり/薬剤師、医療ジャーナリスト】
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業(現、東北医科薬科大学)。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

 

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