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大失敗して「衰退する企業」「むしろ伸びる企業」の違いとは

2022年01月07日 公開

大賀康史(フライヤーCEO)

 

失敗からの教訓

このような事例をみて、私たちがセブン&アイ・ホールディングスを経営する立場だったとして、同じ誤りをしなかったと言い切れるでしょうか。

過去から同グループはインターネット上でも覇権を取るべく努力を重ねてきました。その代表的なものは「オムニ7」です。リアル店舗に対するアマゾンの脅威を常に感じながら、強い意志で取り組んだオムニ7は結果的にアマゾンに伍するほどの存在感は示せず、成功しているとは言えない状況にありました。

その危機感から次の重要な一手を打つことは、妥当ともいえるでしょうし、それが急激に伸びている領域であるバーコード決済に向かうことは、その時の背景からほとんど必然だったと考えられます。また、ペイペイなどの競合サービスが急成長している中で、一日でも早くリリースしなければ、バーコード決済の領域で追いつけないほどの差が開いてしまうことへの焦りもあったはずです。

私の想像ですが、社内では下記に近い議論がなされていたのではないでしょうか。

(テクノロジー部門)「現在対応できていない2段階認証を実装するためには、半年程度の時間がかかります。リリース当初の2段階認証をあきらめれば、当初スケジュール通りにリリースできます。いかがいたしましょう。」

(事業責任者)「2段階認証がリリース当初に実装できていないのはやむを得ない。スピードを優先して、リリースを急いでほしい。ただ、リリース後は速やかに2段階認証を実装して、他社に負けないセキュリティレベルを担保してほしい。」

セキュリティに対する認識としては甘いかもしれませんが、多くの人がはまりかねない落とし穴だったという気がします。評論家の世界とは異なり、実際の経営とは様々なリスクと向き合いながら意思決定をするものです。真剣に経営をしても、失敗してしまうことがあることに、ビジネスの面白さと怖さが内在しているようにも感じます。

 

成功することの難しさ

本書では、失敗事例から導き出された4つの問いかけが示されています。
・私たちはユーザーを本当に理解しているだろうか?
・私たちは競争に勝つために必要な条件を理解しているだろうか?
・私たちの会社は組織として機能しているだろうか?
・私たちは事業が成立している大前提を理解しているだろうか?

このすべての問いかけに対して、反射的に大丈夫だと言ってしまうメンタリティこそが落とし穴であり、すべて立ち止まって考えて見つめなおすと課題がつぎつぎと思い浮かぶ状態がむしろ正常とも言えるでしょう。一度立ち止まって考えるというマインドは、未来のリスクを減らし、成功の確率を高める基本動作であるようにも思えます。

新製品が成功するためには、少なくともこの4つの問いかけに自信をもって答えられる状況を、新製品の「リリース後」も「継続的に」担保していなければいけないのです。新製品を成功させることは難易度が高いと、改めて感じます。

仕事で成果を出すことと広くとらえても同様です。例えば、与えられた業務に合った能力があり、組織のカルチャーに合い、周りのメンバーにめぐまれ、事業が伸びている、という条件がほぼ満たされなければ、目覚ましい成果はあげられません。何かを成功することは、とても尊いことにも思えます。

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