多くの人が、100円ショップでつい不要なものまで買ってしまった経験があるはず。しかし山根洋士さんによれば、「安いから」という理由で物を買う行為は自己肯定感を下げる原因になってしまうそう。一体どのような基準で買い物をすればよいのでしょうか。「自己肯定感を高める」買い物の仕方を紹介します。
※本稿は、山根洋士著『「自己肯定感低めの人」が、一生お金に困らない方法』(PHP研究所)より内容を一部抜粋・編集したものです。
自分の「メンタルダイヤモンド」のためにお金を使う
ふだん、自分の服や靴、食器などを買うとき、手ごろな価格で無難な色や形のものを買ったり、とりあえずあればいい、ということで色や形にこだわらずに買っていませんか? その使い方は、本当の意味で、自分のために使っているとは言えません。
自分のために使うというのは、「これは本当に自分が欲しいものかどうか」を厳選して買うことです。価格の手ごろさや無難さで選ぶことでも、とりあえず買うことでもありません。たとえ想像以上に高くても、本当に欲しいものなら買います。
本当に欲しいものかどうかの基準になるのは、自分の中にある「メンタルダイヤモンド」です。メンタルダイヤモンドとは、ダイヤモンドのように絶対に傷つかない自分だけの価値基準のことです。
例えば、自分の子どもや愛犬、愛猫を世界一かわいいと思う気持ち。その気持ちは、誰になんと言われても、揺らぐことはありませんよね。好きなアーティストをはじめ、アニメやアイドルの「推し」を応援する気持ちも同じでしょう。
そのほか、着物や古着が大好きで日常的に着る、男性だけどファッションとしてスカートを取り入れている、ヴィンテージの車やバイクが好きでコレクションしている、といったこだわりもメンタルダイヤモンドのなせる業です。
誰かにそれらを悪く言われたり批判されても、どこ吹く風で余裕でスルーできるに違いありません。逆に、もし誰かに批判されたことで気持ちが揺らぎ、反論したり不機嫌になるのなら、それは自分の中にも同じように思う気持ちがあるからです。
私の場合、学生時代にしていた水球がそれに当たります。体育会系水球部で、熱心に活動していたので、思い入れは人一倍あります。
でも、人に「水球はマイナースポーツだよね」「人気ないじゃん」などと批判されると、「いやいや、ヨーロッパでは人気が高くてプロリーグもあるから!」「ワールドカップも開催されてますから!」と語気を荒らげがちです。
それが、メンタルダイヤモンドではない証拠。心の底から水球最高! と思っていたら、批判に対して「そうだねー」とか「好きに言ってー」と聞き流せるのです。
自分にとってのメンタルダイヤモンドはなんだろう? と思いを巡らせてみてください。これだな、というものが1つや2つ、それ以上あるはずです。
すぐに思いつかない人でも、幼いころは「誰に何を言われても、自分はこれが好き!」という絶対的な基準があって、ちゃんと主張することができました。
それが親や学校の先生に、「みんなと違うのはおかしいから、こっちにしなさい」などと否定されたり、友達から笑われた経験があると、あっという間に心の奥底に仕舞ってしまいます。
もしそうした経験に心当たりがある人は、子どものころに好きだったものを思い出して、その中に「誰に何を言われても、自分はこれが好き! 」というものがなかったか、探ってください。誰にでも必ず1つは見つかります。
例えば、私は昔からロックバンドのBOØWY(ボウイ)の大ファンなのですが、たとえ誰かにBOØWYのことを悪く言われても、やっぱり好きな気持ちに変わりはありません。誰になんと言われても「シンプルにかっこいい」「好きだ」と思う気持ち、それがメンタルダイヤモンドです。
そして、買い物をする際にもその感覚を大切にして、「自分が本当に欲しいものかどうか」を基準に、厳選するようにしましょう。
100均でも厳選して買う
重要なことは、日用品や食料品などの安価なものも、メンタルダイヤモンドを基準にして買うことです。
100円ショップで買い物をするときも、自分が本当に欲しいものかどうかに徹底してこだわります。セールで半額になっている本や漫画を見つけたとき、「半額になっているなら買っておこう」というのもNGです。
数百円のものなんだから別にいいや、とは考えません。高価な買い物をするときは、誰でも厳選して買うものです。それが、数百円の買い物となるとあまり考えずに買ってしまいがちです。だからこそ、そこを厳選して買うようにすると、お金の使い方が変わるのです。
夕飯の献立が決まっていなくてスーパーに行くと、「今日は鶏肉が安いから唐揚げでも作るか」といった発想になりがちだと思いますが、それをやめます。自分の胃袋と相談して、「今日は何を食べたいか」をしっかり考えてください。
ティッシュペーパーやフェイスタオル、マスクなども、「私は本当にこれが欲しいと思っているか?」「絶対にこれでなくちゃダメか?」と自問してください。
大事なことは、自分にとってのムダ金、意味のないお金を一切使わないこと。親やきょうだい、友達、同僚など、自分以外の誰かの基準も、常識や社会の基準も関係ありません。値段が安い、高いでもなく、自分にとって価値があると思うものにのみ、お金を使います。
こうしたお金の使い方をケチや節約、倹約と混同する人がいますが、それは商品を厳選している姿が傍目にはそう見えることがある、というだけです。
値段の安さを重視して選ぶ節約や倹約と、メンタルダイヤモンドを基準にした買い方は、まるで違います。