過度なストレスは喫煙や飲酒量を増やしたり、病を引き起こす原因になります。そんな悩ましいストレスを感じやすい人にはどういった特徴があるのでしょうか。渋谷昌三氏が解説します。
※本記事は渋谷昌三著『[新装版]すぐに使える! 心理学』(PHP研究所)の一部を抜粋、編集したものです。
酒の力を借りる日本人
ちょっと年配の人なら、外国人の派手な抱擁には違和感を覚えるでしょう。日本人もまだ子供が小さい頃は、親子間では頻繁なスキンシップが行われます。しかし、大人同士では体を触れるようなコミュニケーションが行われる場面は、そう多くはありません。
身体的な接触は本来、最も効果的なコミュニケーション手段といわれています。つまり、自分の思いをストレートに伝えることが苦手な日本人にとって、それは非常に恥ずかしい行動なのです。
ところがひとたび酒を飲むと、肩を組んだり、相手構わずキスをする"キス魔"まで現れます。サンフランシスコ州立大のバーンランド教授は、これをアル・コミュニケーションと呼びました。日本人は酒の力を借りて、本音を吐露しているわけです。
なぜ酒を飲むのか
人はなぜ酒を飲むのか。心理学では2つの理由があると考えられています。1つは祝い酒や付き合い酒など社交上の飲酒で、外在的動機といいます。
もう1つは緊張や不安を解消する、失恋などの苦しみを忘れるといった理由で飲まれる内在的動機と呼ばれるものです。後者はやけ酒になりかねず、注意が必要です。
酒は百薬の長といわれるように適度な飲酒は体にも心にもよいとされていますが、度を越すとその効果は薄れ、かえってストレスを与えかねません。
ストレスと飲酒回数の関係を調べた調査によると、毎日飲んでいる人は週に2~3回の人に比べ、ストレスに対する抵抗力が弱いという結果が出ています。