「やる気が出ない」が危険信号? 中高年に不調を起こす脳の変化
2022年08月15日 公開 2024年12月16日 更新
「男性更年期」にも要注意
アグレッシブさ、クリエイティブさがなくなってきたら、男性の場合は、「うつ」のみならず「男性更年期(今はLOH=加齢性腺機能低下症といいます)」にも要注意です。
「えっ、男性にも更年期?」─と思われるかもしれませんが、更年期障害は女性のみのものではありません。
人体には、ごく微量で各器官の働きや免疫機能、代謝機能をコントロールする、生命維持に欠かせないホルモンが約70種あるといいます。これらの種々のホルモンは、40〜50歳くらいを境にその分泌量が減少します。
とりわけ、女性は女性ホルモンが急激に減少し、男性は男性ホルモンの減少が目立ち始め、それによって体内のホルモンバランスが大きく崩れると、ほてり、発汗、めまい、頭痛、耳鳴りなどの様々な身体症状の他、無気力、集中力や記憶力の低下、イライラ、不安感、抑うつなどの心因的な症状が現れます。これら不定愁訴が「更年期障害」と呼ばれるものです。
日本人はこの心因的な症状が強く現れやすい傾向があり、「うつ」と診断された人のなかにも、実は「更年期障害」であるという人も相当数いるとみられています。
女性の場合は「閉経」を伴うため比較的わかりやすいのですが、男性の場合なかなか意識したり自覚したりする機会もないだけに、「更年期障害」には要注意です。
「脳の動脈硬化」のサインとは?
動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞など、生命の危機に関わる疾病に直結します。脳以外の部位に動脈硬化ができた場合は「コラテラール」と呼ばれる"サブ"の血流路ができて、ある程度までは血流も確保されます。
しかし、脳の血管は非常に細く、そのひとつひとつが脳の小さな部位に血液を供給しているため"サブ"の血流路が形成されにくく、血流の悪化は避けられません。脳の血流が悪くなれば、様々な脳の機能に支障が及ぼされることになります。
また、脳の動脈硬化は自発性の低下を招き、何もしないで1日中ぼーっとしていたり(そのため、「認知症」と間違われることもある)、そこまでひどくなくても、仕事の上でのイニシアチブがとれなくなったり、言われたことはやっても自分からは何もしようとしなくなるなど積極性が欠けたりして、その結果、会社員生命、社会的生命まで危うくすることもあります。
50歳を超えて、「なんとなくやる気がなくなってきた」「何かを始めることが億劫だ」と感じるようになったら、「脳の動脈硬化」の黄信号かもしれません。体の発する信号を見逃さず、早めの手立てを行うことです。