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くらし

ツイッターでつぶやくと「前頭葉の老化」を防げる理由

和田秀樹(精神科医)

2022年08月17日 公開

 

日記が「思い出すトレーニング」になる

子供の頃、夏休みの宿題で毎日「日記」を書かされたことのある方も多いと思います。家族で旅行に行ったり、友達と遊んでいて何か特別に面白いことがあった日ならともかく、「今日は何を書いたらいいのだろう」と悩ましい日もあったことと思います。

まして大人になって、毎日決まりきったルーティンで日々を過ごしていると、「日記を書く」なんて不可能のように思われてきます。しかし、特に何もなく、記憶に残るようなこともない平々凡々な1日ほど、「出力系」を鍛えるには恰好のチャンスなのです。

「今日は誰と会い、どんな話をしたか」「昼に何を食べ、それは美味しかったか」「通勤途中や散歩途中で何を見かけたか」─

そんな「なんでもないこと」も、思い出そうとしなければ「記憶にない」ことで終わってしまいますが、「思い出そう」とすれば、必ずや何かしら記憶から引っ張り出されてきます。

日記といっても、何も長々と文章にしなくても、ほんの数行でもかまいませんし、あるいはツイッターのような「つぶやき」の形で書き出すだけでもよいのです。

つまり日記は書き「入れる」ものではなく、書き「出す」もの。「思い出すトレーニング」と考えれば、三日坊主にもならずに済むのではないでしょうか。

 

「思い出す」きっかけとなる「モノ」を身近に置く

日記は、日常の小さな出来事でもあえて「思い出そう」とすることで「出力系」の鍛錬になると先述しましたが、無理に思い出そうとするまでもなく、何かのきっかけで次々と「記憶」「思い出」がよみがえってくる場合もあります。

普段からそんな「思い出の連鎖」のきっかけになってくれる「モノ」を身近に置いておくと、これもまた出力系の鍛錬にはうってつけのツールになります。

例えば、「地図」。地図帳をめくっていると、青春時代に旅したあの山村や港町、かつて家族で旅行した観光地のこと、そしてそこでの様々な思い出が走馬灯のようにめぐります。

辞書や単語帳などでもよいかもしれません。「言葉の記憶」の確認になるということはもちろんですが、「懐かしの英単語帳」などは、その単語帳を使って必死に受験勉強をしていた頃の何気ない出来事なども、にわかに思い出されてくるものです。

また、「図鑑」や「カタログ」。子供の頃に夢中になった昆虫図鑑、若い頃にはまったオートバイのカタログからは、好きだった昆虫やオートバイのことだけでなく、それらに熱中していた頃の自分自身の思い出までもがふとよみがえってきます。

そうしてその頃の熱い思いに再び浸ることが、脳に心地よい興奮を呼び起こします。このことがまた脳の活性化を促進し、「一石二鳥」の相乗効果が期待できるというわけです。

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