自分に質問を投げかけて自分と向き合うことで、人生が豊かになります。朝と夜、1分の時間を使って、「魔法の質問」を自分に投げかけてみましょう。
※本稿は『PHPスペシャル』 2022年11月号より抜粋・編集したものです。
「魔法の質問」でモチベーションが上がる?
人は誰でも、無意識のうちに自分に質問を投げかけています。しかし、自分への質問には、「良い質問」と「悪い質問」があります。「なんで失敗したの?」「どうしてうまくいかないの?」といった「Why(なぜ)?」と聞く質問は、その理由を答えるための「言い訳」がセットになるため、悪い質問であると言えます。人が無意識のうちに自分に問いかける質問は、この「Why」の問いが多いのです。
これに対して、良い質問とは「What(何)?」の質問です。「Why」ではなく「What」に変えることで、「どうすればうまくいくか」「何をすれば達成できるか」と、行動を促す質問になります。これが、人生を豊かにする質問=「魔法の質問」なのです。
魔法の質問は、朝起きてすぐにするのがおすすめです。目覚めてすぐの時間は、脳がまだ何の情報も受け取っていないまっさらな状態。私はこの時間を「プラチナタイム」と呼んでいます。
プラチナタイムに自分の気持ちや状態と向き合うことができれば、今日をどのように過ごすと良いのか方向性がはっきりし、気持ちが前向きになります。それによって1日のモチベーションもアップし、生産性を高めることができるのです。
生産性が高まり、2時間かかっていたことを1時間で行なうことができたら、残りの1時間は、自分が好きなこと、楽しいことのために使えます。そんなふうに一日一日を積み重ねていくことが、豊かな人生へとつながっていくのです。
朝1分! 自分への7つの魔法の質問
1日のスタート地点である朝は、気持ちを盛り上げ、その日を良い方向に持っていく質問を投げかけましょう。毎朝、すべての質問に答える必要はありません。パッと答えが出たものだけを書き出せばOKです。
【質問1】今日の楽しみは何?
「好きな人に会う」「おいしいものを食べにいく」など、わかりやすい楽しみがある日もあれば、そうでない日もありますね。しかし、何でもない日やストレスを感じる日こそ、この質問をしてみてください。
宝物を見つけるような感覚で、楽しみを探してみましょう。それは、ストレスやトラブルから自分を守るためのプロテクターの役割を担ってくれます。
【質問2】身体は何て言っている?
目が覚めたら寝転がったまま、この質問をします。全身をCTスキャンにかけるようなイメージで、足元から頭までゆっくりと意識を巡らせてみましょう。
朝起きてすぐの脳がクリアな状態だからこそ、身体の些細な異変に気づけます。早く気がつけば、リカバリーのための対処も簡単です。また、「今日は身体が軽い」など調子の良さにも気づけるでしょう。
【質問3】今、どんな気持ち?
心のダメージは、自分でもなかなか気づきにくいもの。だからこそ、脳がクリアなプラチナタイムに自分の心に問いかけてみましょう。
ここで求められる答えは「感情」です。「嬉しい」「悲しい」「モヤモヤしている」「すっきりしている」など、いろいろな感情を表す言葉を思い浮かべながら、一番しっくりくるものを探してみましょう。
【質問4】どんな1日になったら最高?
朝は1日のうちで最もストレスホルモンの値が高く、ネガティブな感情になりがちです。だからこそ、気持ちを切り替えるための質問をしてみましょう。
1日の終わりに自分が幸せそうにしている姿を想像しながらこの質問をすることで、脳は無意識にそうなるための行動をとるように指令を出します。それが結果的に、「最高の1日」につながるのです。
【質問5】今日、最も取り組みたいことは?
今日やるべきことの中で、最も重要で優先度が高いものは何かを認識するための質問。「最も」なので、1つだけ挙げます。続けて、「それを何時から何時の間にやる?」とスケジュールを組んでみるといいでしょう。
やる時間を決めると、実現する確率がグッと上がります。ポイントは、所要時間を予測すること。上司に見せるわけではないので、だいたいでかまいません。
【質問6】今日、やらなくてもいいことは?
必ずしも今日やらなくてもいいことに一生懸命取り組んでしまい、気づけばやるべきことに追われ、自分の時間を奪われていませんか? すぐにやる必要がないことであれば、明日以降にまわしてOK。
「今日やらないと忘れてしまう」と思うかもしれませんが、忘れないために、ここで書き出しておくのです。いつやるのかも書いておくといいでしょう。
【質問7】自分の時間は、いつ取る?
仕事や家事、育児など、「人のための時間」ばかりではなく、「自分のための時間」を取ることも大事です。実は、自分を喜ばせる時間を1日のスケジュールの中に組み込んでおくと、作業効率がグッと上がります。
加えて「何をしたら自分は嬉しいか?」「どんなときに喜びを感じるか?」という質問をすることで、自分にとって大切なものに気づけるはずです。
その日の方向性を定めよう!
朝の質問では、1日の方向性を見つけることが重要です。「今日は、ためこんだ仕事を終わらせるためにがんばりたい」「ここのところ忙しかったから、今日はゆっくり過ごしたい」など、その日をどう過ごすかという方向性は、日によって変わるものです。
「目的」というほど明確な指針を持つ必要はありませんが、なんとなく「こんなふうに過ごしたい」という方向性を定めておけば、その日のうちにやるべきことや、やらなくてもいいことがわかってきます。言うならば、「どこ行きの飛行機に乗るのか」ということ。朝の質問の時間を使って、考えてみるといいでしょう。