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生き方

「すれ違ってしまった相手」と“心のボタン”をかけ直す方法

中山和義(心理カウンセラー)

2012年07月06日 公開 2022年12月27日 更新

中山和義

日常の幸せに感謝する

水の中に暮らしている魚は釣り上げられて初めて、水のありがたさに気がつきます。

人間は、いつも空気があるのが、当たり前の状況なので、空気の存在に感謝できません。このように、現状が当たり前だと思っていることは、失ったときに初めて、ありがたかったことに気づきます。

身近な人間関係も同じことです。一緒にいられるのが、当たり前になってしまうと、相手の存在に感謝できなくなって、不満が高まってしまいます。

私が心理学を教えていただいた衛藤先生に、冷静にカウンセリングができない時期がありました。それは先生の幼いお子さんが、小児ガンになってしまって、入院していた時期でした。子どもの生命が、危険な状況だったので、

「子どもが、勝手に学校を辞めて、困っているんです」
と母親から相談されても

「学校に行かなくてもいいじゃないか、近くに、ずっと、いてくれれば……」
と考えてしまいました。

「子どもとすぐに、殴り合いのケンカになってしまうんです」
と父親から悩みを打ち明けられたときには
「羨ましいな、息子が大きくなって、ケンカができたら、どんなに幸せだろう」
と思って、涙が溢れてしまいました。

「どうして、みんなは、今の幸せに気づかないのだろう。
子どもが一緒にいてくれるだけで、本当に幸せなことなのに……」
と思っていました。

大切な相手と一緒にいられることは、当たり前のことではありません。

幼い子どもを育てているときには、
「どうして、もっと、きちんとできないの。お母さん、忙しいのに……」
と言うことを聞いてくれないことを悩みますが、いつかは、自分の手元から巣立つ日が、訪れます。

そのときになって、
「どうして、あの頃に、子育てを楽しむことができなかったのだろう……。もっと、子どもとの関係を大切にすれば良かった」
と気づいたのでは、もったいないです。

同じように、長い間、連れ添っている夫婦にも、いつかは別れのときが、必ずきます。

「毎日、細かいことまで、言われて、嫌になるよ」
と文句を言いながら暮らしていでも、そのときになれば、文句を言ってくれる人は、いなくなります。

「もっと、仲良くすれば良かった。感謝の言葉をかけてあげれば良かった」
と思っても、時間は、元に戻せません。

もしも、あなたの大切な人が、24時間後にいなくなるとしたら、あなたは、どうしますか?

残された時間に、その人とケンカをしようと考える人はいないはずです。できるだけ、楽しい時間を一緒に過ごそうと思うでしょう。最後に感謝の言葉を伝えたい人もいるはずです。

元気に、学校や会社に出かけた家族が、必ず無事に戻ってくるという保証は、本当はありません。大切な人との別れは、突然にやってくることもあるのです。

大切な人と一緒にいられることは、当たり前ではありません。そのことを意識するだけでも、関係が良くなるはずです。

 

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