おかずはご飯より少なく...『養生訓』が示した“日本人の胃腸に合う食事”
2023年12月21日 公開 2024年12月16日 更新
『養生訓』は、江戸時代前期から中期に差しかかる1713(正徳3)年に出版されて以来、日本で最も広く、最も長く読み継がれてきた健康書の古典です。
著者の貝原益軒は死去する前年においても体力気力ともに充実し、自ら筆を執って『養生訓』8巻を書き上げ、83歳で見事に天寿をまっとうしました。その姿は、生涯をかけて追求した養生の道が正しかったことを雄弁に物語っています。
『養生訓』の中で語られている、養生の軸である「食養生」について、予防医学の第一人者で内科医の奥田昌子氏が編訳してお伝えします。
※本稿は貝原 益軒 (著)・ 奥田 昌子 (編集)『病気にならない体をつくる 超訳 養生訓』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を一部抜粋・編集したものです。
養生は健康な胃腸から始まる
人は食べたものを胃腸で消化し、栄養を全身に送って命を繋いでいる。植物が土から養分を吸って成長するようなものだ。だから養生を志す人は、まず胃腸の調子を整えることが欠かせない。
食事は諸刃の剣
食事は生活の中で最も大切なものであり、飲まず食わずでは半日ももたない。けれども同時に、食への欲求は非常に強い。気のおもむくままに食べたり飲んだりしたら必ず胃腸を壊し、病気になって命を落とす。
好物であっても食べすぎるな
食事をする目的は空腹や喉の渇きを癒やすことであるから、空腹ないし渇きが満たされたら終わりにすべきだ。欲張って好きなだけ飲み食いしてはならない。好物を出されたら、食べすぎないように用心せよ。
よく考え、強い気持ちで欲求に勝たなければならない。臆病なくらい慎重でなければ、病気を防ぐことはできないのだ。