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ヘアメイク歴30年のプロが思う、見た目を整えるだけじゃない「メイクの真の目的」

YUTA.(ヘアメイクアップアーティスト)

2025年07月02日 公開

ヘアメイク歴30年のプロが思う、見た目を整えるだけじゃない「メイクの真の目的」

30年以上ヘアメイクアップアーティストを続けるYUTA.さんは、自身のご経験から、表情こそが美しさを生み出すと考えているそう。著書『今の自分に合うメイクの正解』は、ただメイクの方法を説明するのではなく、YUTA.さんがメイクや美容以前に大切だと思っていることを紹介しています。メイクに悩んでいた読者から共感や感動の声も届いている同書より、表情の持つ力について説いた一節をお届けします。

※本稿は、YUTA.著『今の自分に合うメイクの正解』(日本実業出版社)より内容を一部抜粋・編集したものです

 

「肌」というキャンバスに描かれているのは「表情」

メイクは、ただ顔に線を描いたり、色を加えたりするだけのものではありません。

表情を引き立てるための道具であり、大事なのは、どうイキイキとした表情をつくり出すかです。

メイクを通じて自分の個性を引き出し、自分を受け入れ、内面から輝くことができるのです。

実際に、私の講座を受講した方々の中には、メイクを通じて人生そのものが大きく変わった方がたくさんいます。次は、ある受講生の方の話です。

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今の自分を変えたくて、YUTA.さんの講座に参加しました。受講した最初の課題として、自分の性格や悩みを書き出しました。日々の自分を見つめ直すことで、どうしたいのかが少しずつ見えてきました。

毎日、メイクのよかった点と改善点を書き出したり、スマホで撮影した自分を見たりするなかで、認めたくない部分と向き合うことは、最初は正直しんどかったです。

でも、そうしなければ変われないと気づきました。

これまでの私は、できないことを認めず、完ぺきをめざしていました。しかし、講座で「とにかくやってみるしかない」と強く感じました。

小さなことをコツコツ積み重ねることが、いちばんの近道だということも実感しました。

講座の最終日、「シャレるために大切なことは?」というYUTA.さんからの質問をきっかけに、メイクの真の意味を考えました。

メイクがうまいからといって、それだけできれいになれるわけではありません。内面の輝きこそが大事で、努力や他人への配慮なども顔に表れるものだと気づきました。自分のことが少し好きになり、心に余裕ができると、他人への接し方も変わります。

私はこれまで、人をうらやましく思うことが多かったです。自分にはないものを持っている人がたくさんいるからです。

でも、メイクを学びながら、同じように自分にもよさがあると考えるようになりました。すると、心のモヤが晴れ、気持ちがラクになりました。

メイクを教わっただけでなく、自分と向き合い、好きになること、そして受け入れることの大切さを学びました。今ある生活がどれだけありがたいかにも気づけました。

講座が終わった今、また自分と向き合う時間がやってきます。これからも「シャレてる自分」をめざし続けたいと思います。
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彼女の言葉には、メイクには外見の変化だけでなく内面の変化をもたらすチカラがあることが、はっきりと表れています。

メイクをすることで、肌というキャンバスに描かれている「表情」そのものが変わります。内側から湧き出る自信やポジティブなエネルギーが外に伝わり、それが周囲の人々にも影響を与え、人生が輝きはじめるのです。

 

表情は生き方

私が小学生の頃、母は更年期だったこともあり疲れやすく、私はよく母にマッサージをしていました。すると、母の疲れた表情が、私の手でやわらぎ、優しくにこやかな表情になりました。

また、母のチリチリの髪をドライヤーでふんわりと整えてあげると、ふとした瞬間に母の笑顔がこぼれます。「笑顔になると、人はきれいになる。きれいになると、人は笑顔になる」と幼心に思いました。

この気づきは、母の笑顔と一緒に心に刻まれ、私がヘアメイクを仕事にする原体験になっているかもしれません。

私たちは、日々の生活のなかで自分の表情を無意識につくっています。それがどんな表情であれ、無意識だからこそ、そこに生き方が表れてしまうのです。

メイクをする本当の目的は、見た目を整えることだけではありません。表情を豊かにし、内面からの輝きを外に引き出すためです。

表情は、その人の性格、好きなもの、そしてこれまでの人生で抱えてきた感情までも映し出します。いくら外見を完ぺきに整えても、表情がつくり出す印象は、その人の本質を語ってしまいます。

だからこそ、メイクは内面の変化がともなってこそ、本来の力を発揮するのです。表情は内面を表すということでいえば、自信がない人は、美容院などで自分の顔を鏡でなかなか直視できません。

鏡の中の自分を直視できないのは、「自分」と向き合うことを避けてきたからだと思います。

でも、鏡や自撮りで自分の姿を確認し、メイクの技術と表情のトレーニングを重ねていくと、変化が表れ、「私の顔、いい感じかも」と思いはじめ、少しずつ自信を持つようになります。

メイクやファッションで着飾っても、その人の内面は必ず外側に表れます。さらにいえば、長年の思い込みや無意識に抱えていた感情が、表情や所作に影響を与えるのです。

たとえば、こんな「間違った思い込み」を抱えている人はいませんか? 

「私はこんな顔だから美しくなれない」「もう年齢的に遅すぎる」。これらは、無意識に「自分の可能性を狭めてしまう呪いの言葉」です。

まずは間違った思い込みを手放し、心の奥底にある感情に向き合うこと。それが心からの美しさを引き出す第一歩です。

自分は毎日どんな表情で生きているかを見つめ直してみてください。表情は、あなたの生き方そのものだからです。

著者紹介

YUTA.(ゆた)

ヘアメイクアップアーティスト

1974年大阪府生まれ。美容師としてデビュー後、テレビ大阪「スーパー美容師変身バトル」にレギュラー出演。2000年美容業界誌『ヘアモード』の年間グランプリを受賞し、SHISEIDO SABFAでノウハウや技術を磨く。その後、TVCMや『Sweet』『VERY』などのファッション誌、CDジャケット撮影などで活躍。女優やモデルをはじめ、延べ2万人以上のヘアメイクを担当。2018年には「CLEARシャンプー」のWeb版CMに出演し話題に。第一線で活躍し続けて30年、オリジナルブランド「Neuf358」の立ち上げ、コスメの商品開発アドバイザー、美容セミナー講師としても活動の幅を広げる。Instagramでは多くの共感を集め、寄せられるメッセージをきっかけに一般向けのオンライン講座を開講。1人ひとりの魅力を引き出し、メイクによって人生を好転させる「YUTA.式シャレ顔メソッド」を伝えている。

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