「朝に弱い」というあなた、すっきり目覚めて「朝活」しませんか?
2013年04月26日 公開 2022年12月19日 更新
朝の時間は楽しみに変えられる
朝の時間を活用する意識を持てば、「朝が弱い」問題の解決に一歩近づきます。そこで、毎朝の時間を活用した具体例をご紹介しましょう。
◎毎朝1時間でも、積もれば大きな財産に◎
わたしの知り合いに、毎日早朝に行なわれる英会話のクラスに通い、2年間で十分に会話ができるようになった青年がいます。
海外旅行が好きで、「英語を身につけて、行動範囲や出会う人をもっと広げたい」という思いから、会社の近くの英会話のスクールに通い始めました。初めは夜のクラスをとったそうです。始まりは午後の6時半ですから、会社が終わってからでも十分間に合うのですが、残業が入ったり、上司に飲みに誘われたりして、なかなか続けられなかったといいます。結局、休みがちになってしまい、授業も飛ばしてばかりでは身が入らず、思い切って朝のクラスに変更したのです。最初のうちはつらかったものの、これまでのように休んで月謝をむだにしたくないという気持ちも強く、ときには這うようにして通ったそうです。
彼によると、起きるときはふらふらでも、クラスへ行けば、楽しくて目が覚めるのだそうです。15人近くのクラスなのですが、一方的な授業ではないので緊張もするし、学生を中心にさまざまな職種の人たちなど、おもしろい顔ぶれが集まっているので、雑談をしても刺激になるというのです。そのうち、それが日課になり、毎日通って英語も上達するから行くのがますます楽しくなり、2年間続いてしまったといいます。
毎晩仕事が終わってから、自分だけの自由時間を1時間とろうと思っても難しいものです。しかし、朝なら決心しだいで十分可能になります。
起きるのがつらくても、目標があれば励みにもなります。そのうえ、今まで気づかなかった何かを自分の中に発見したり、上達するという喜びを実感すると、ますます楽しくなるに違いありません。
これまでふとんの中にいた1時間も、積もれば自分の財産になるのですから、朝の時間は見過ごせません。
ちょっとした工夫が快適な目覚めをもたらす
忙し過ぎる現代社会の中で、睡眠時間を毎晩しっかり確保するのは、難しいことかもしれません。朝、「まだ寝たい」という気持ちを断ち切り、ふとんから出るのは、やはり少しつらいことかもしれません。そこで、そのつらさを解消するちょっとした工夫をご紹介しましょう。
◎起きたらまず窓を開ける◎
人間は、もともと陽が昇ると目覚め、陽が沈むと眠っていたわけですから、太陽の光を感じると「起きる時間」だと認識するセンサーを持っています。試しに、目覚まし時計が鳴ったら、這ってでも、すくに雨戸やカーテンを開け、日の光を浴びてみてください。まぶしさを感じると同時に、どんどん眠気が飛んでいくはずです。
わたしたちの体は、光によって「朝が来た」と認識します。25時間でまわっている人の体内時計の1時間のずれを元に戻せるのも、光によって朝が来たことを認知できるからです。睡眠障害の治療法に、ある一定の時間、光をあてるという方法があるほど、朝の光には、目を覚まさせる力があります。
また、体温を下げるのも有効です。
体温の変化は眠りと深い関係にあります。体温は明け方の、目の覚める少し前に最低になり、それから少しずつ上がり始めます。起きて活動を始めると、それに従ってどんどん上昇し、夜になるとピークを迎え、下がり出したころにちょうど眠気がやってくるというサイクルになっています。
ふとんを1枚減らして寒さを感じられるようにすると、体が体温を上げて調節しようと動き始めるので、自然と目も覚めてきます。
冬の寒い朝は、あたたかいふとんの中から出たくないものですが、そんなときこそ、目を覚ましたら、電気毛布のスイッチを切ったり、ふとんを1枚減らすなどして、体温を下げましょう。窓を思い切り開けて空気を入れ換えると、なおさら効果的です。
冷気とともに日の光も浴びられ、「ああ朝が来た」と全身で感じられるでしょう。頭と体はきっと、“今日”を始めたくてうずうずしてくるはずです。
<イラスト:HOPBOX>
鴨下一郎
(かもした・いちろう)
心療内科医、医学博士
1949年、東京生まれ。ストレス社会の到来にそなえて、心療内科医として「日比谷国際クリニック」を開設。「ストレスが現代人のこころを蝕む」と警鐘を鳴らしてきた。人間関係におけるストレスを癒すだけでなく、生活改善の指導や、ものの見方や考え方をアドバイスすることによって、ストレスに負けない体質づくりに大きな実績を残している。
『「なぜか人を安心させる人」の共通点』(PHP研究所)、『“いい人”でも損しない生き方』(青春出版社)、『「疲れやすい」が治る本』(大和書房)、『笑っちゃうくらい「問題のある人」とは、こうつき合う』『「うつ」かもしれないと思ったら読む本(以上、新講社)など、著書多数。
<書籍紹介>
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