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筋トレのメリット 食べても太りにくい身体になる?

2011年03月05日 公開

荒川裕志(国立スポーツ科学センター)

《 石井直方:監修、荒川裕志:著『効く筋トレ効かない筋トレ』より》

 

筋肉を鍛えることで得られる効果とは

 筋トレを行えば、主要な筋トレ効果である「筋肥大」と「筋力アップ」が基礎となり、一般的にイメージされているような、さまざまなメリットへとつながっていきます。スポーツにおけるパワーやスピードの向上、シェイプアップ、健康増進といったメリットを享受するうえで、筋トレは非常に効率的なトレー二ングであり、他の運動と比べても、短時間で大きな効果が得られる方法といえます。

 

筋トレのメリット(1)スポーツにおけるパワー、スピードが向上する

 筋肥大によって筋力が向上すれば、スポーツ時の筋出力も向上し、競技力のアップにつながります。身体を動かすエンジンとしての筋肉の能力は、原則としてその「大きさ」によって決まるため、細い筋肉のまま筋出力を大きく向上させることは、生理学的に難しいといえるでしょう。例外的に、筋肉の大きさはそのままに、筋出力が向上するケースもありますが、劇的な向上は望めません。筋力や競技パフォーマンスを飛躍的に高めるには、筋肉を大きくすることが必須となるのです。
 また、筋肥大によって筋力が向上すれば、スポーツにおけるスピードも向上します。一般的に、筋肉がつくとスピードは遅くなるとのイメージがありますが、それは事実ではありません。筋力が向上することで、それまで重く感じていた負荷も軽く感じられるようになり、一定の負荷に対して、以前より素早く動くことが可能となります。強い筋力こそがスピードアップのベースとなるのです。  また、一定の筋力アップに必要となる筋量(筋肉量)の増加は、体重との比率で考えると、実はそれほど大きな増量にはなりません。脂肪をつけずに全身の筋肉をバランスよく増やしていけば、基本的にスピードが遅くなることはないのです。このことは、陸上競技の短距離で活躍しているトップスプリンターたちのマッチョな肉体が、証明しているといえるでしょう。

 

筋トレのメリット(2)食べても太りにくい身体になる

 筋トレによって筋肉を鍛えることで、脂肪が落ちやすく、太りにくい身体になります。つまり、筋トレは筋肉を太くする効果があるだけでなく、ダイエットの有効な手段でもあるのです。
 人間は、日常生活で特別な運動をしなくても、自然にエネルギーを消費しています。この消費エネルギーを「基礎代謝」と呼び、その量は成人男性で1500kcl強、成人女性で1200kcl弱におよびます。日常の運動量が平均的な人の場合、基礎代謝量は全エネルギー消費量の約60%に相当するため、かなりのエネルギーが知らず知らずのうちに消費されているのです。
 この基礎代謝は、筋トレによって増加させることが可能です。
 全身の筋トレを3カ月間実施した研究によると、基礎代謝量は概ね100kcl程度増加するという結果が得られています(Brettら1988など)。100kclというと、ウオーキング約40分の運動量に相当します。筋トレでエネルギーを消費するだけでなく、基礎代謝でこれだけのエネルギーが毎日余分に消費されるようになるため、体脂肪減少に対する筋トレのメリットは、かなり高いといえるでしょう。
 この実験における約100kclの増加分には、筋肉量の増加(約2kg)だけでなく、体脂肪率が低下したことで、体重当たりの基礎代謝率が増加したことも影響しています。つまり、筋トレによる「筋肉量増加」と「代謝率増加」という二つの効果が重なることで、基礎代謝量の増加につながったと考えられます。

 

筋トレのメリット(3)健康的に身体が若返る

 筋トレは、姿勢の矯正や腰痛、肩コリなどの改善にもつながります。さらに、糖の代謝能力を改善することで糖尿病の予防にも効果的であると考えられており、健康面でもさまざまなメリットをもたらすのです。
 また、筋トレを継続すれば、活き活きとした身体に若返ります。筋トレは成長ホルモンやテストステロンなどいくつかのホルモン分泌を促進します。これらのホルモンには体を若返らせる作用があり、筋肉量増加から脂肪分解、細胞の成長促進、免疫力の向上、さらには精神的活力や精力を上げる働きまであるのです。筋トレこそが「天然の若返り薬」といえるでしょう。

 

筋トレのメリット(4)メリハリのあるナイスボディが手に入る

 筋トレは、メリハリあるナイスボディへの近道でもあります。極端にマッチョな体は例外として、美しいボディラインには、適度にバランスよくついた筋肉が欠かせません。男女を問わず、シャツやスーツを格好良く着こなすためにも、筋トレは不可欠といえるでしょう。
 筋肉をつけず、ただ体脂肪を落とすだけでは見た目に格好良い体にはなりません。スタイル改善=ダイエットというイメージがありますが、ただ痩せるだけでは、メリハリのあるボディは手に入らないのです。
 有酸素運動はダイエットなどには有効ですが、筋肉をつける効果はほとんど期待できません。ナイスボディの土台となる筋肉を直接的かつ効率的につける方法こそが、筋トレなのです。
 実際、ハリウッド俳優やサッカー選手のスタイルが格好良いのは、日本人と比べて頭が小さく、手足が長いといったことも関係していますが、何より筋トレで筋肉をしっかりつけていることが大きな理由です。筋トレによるボディメイクは、最高のオシャレでもあるのです。

 

<監修者> 石井直方 (いしいなおかた)
1955年、東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は身体運動科学、筋生理学。ボディビル選手としても活躍。1981年ボディビルミスター日本優勝・世界選手権3位、1982年ミスターアジア優勝、2001年全日本社会人マスターズ優勝など、輝かしい実績を誇る。
『石井直方の筋肉まるわかり大事典』(ベースボール・マガジン社)『一生太らない体のつくり方』(エクスナレッジ)など著書多数。

<著者> 荒川裕志 (あらかわひろし)
1981年、福島県生まれ。2011年4月より国立スポーツ科学センター・スポーツ科学研究部研究員。早稲田大学理工学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。専門はバイオメカニクス・トレーニング科学。スポーツ科学の研究者でありながら、元プロ格闘家としての顔も持つ。
著書に『からだが目覚めるストレッチメニュー』(池田書店)『力学でひもとく格闘技』(共著、ベースボール・マガジン社)など。

<書籍紹介>

効く筋トレ・効かない筋トレ

効く筋トレ・効かない筋トレ

石井直方:監修
荒川裕志:著

初心者から中・上級者まで、圧倒的な情報量で満足の、筋トレバイブルの決定版。マシンの基本と応用の使い方、筋肉の徹底的な追い込み方など、類書にはない実践的な情報が満載。

 



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