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脳科学を活用した人生大逆転の方法――「思い込み」を白紙化しよう!

堀川一晃(第一ゼミナール等運営会社/ウィザス代表取締役)

2013年11月06日 公開 2024年12月16日 更新

堀川一晃

《『脳科学を活用して 平凡から非凡へ』より》

 

根拠のない「思い込み」に振り回されていませんか?

 「話が下手だね」

 「センスが悪いね」

 「営業に向いていないね」

 そんな一言を言われて、ずっと気にしてしまった経験はないでしょうか。

 不思議なことに、気にしていると暗示にかかったかのように、そのとおりになってしまうことがあります。

 「話が下手だね」と言われた人は、そのことを意識しすぎるあまり、人前で話をするときにぎごちなくなり、「やっぱり自分は話が下手なんだ」という気がしてきます。そのうちに、人前で話すこと自体を躊躇し、避けるようになります。話す機会が減っていき、やがて本当に話が下手になっていきます。

 このように、人から言われた何気ない一言がきっかけで、苦手意識ができてしまって、仕事や生活に影響を及ぼしてしまうことがあります。

 その影響は決して小さなものではありません。ときには、人生の選択肢や可能性を大幅に狭めてしまうこともあります。

 そのことに気づいたのは、ある生徒と話をしたときのことでした。

 ある中学生の子は「僕は数学が苦手。どうせムリだ」と言っていました。それほど数学ができない子ではないのに、苦手だと言っています。不思議に思って「どうして、そう思うの?」と聞くと、「小学生のときに学校の先生から『応用問題が苦手だね』って言われた」と言うのです。以来、「僕は応用問題が苦手だ」と思うようになり、算数・数学に対する苦手意識をもってしまったようです。

 「僕は応用問題が苦手だ」と思っていますから、算数や数学を勉強する気にはならなくなります。数学の勉強をしないことによって、数学の成績は少しずつ低下します。そうすると「やっぱり僕は数学ができないんだ」と思うようになって、数学に対する苦手意識がいっそう強まり、数学を敬遠するようになります。

 高校に入ると、理系か文系かを選択しなければならないときが来ます。「数学が苦手だ」と思っている子は、理系ではなく文系を選びます。その時点で、エンジニアや医者になる道は閉ざされてしまいます。そして、大学の文系学部に進んで、文系の就職先を選んで仕事に就くことになります。

 もともとは数学がそれほどできなかったわけではなく、きちんと勉強すれば、できるようになったはずです。数学に対する苦手意識がなければ、エンジニアにも医者にもなれたかもしれません。しかし「自分は数学が苦手」と思い込んでいるために、人生の選択肢を自分で狭めてしまったのです。

 きっかけは、「応用問題が苦手だね」という先生のちょっとした一言です。先生がどういうつもりで言ったのかはわかりません。「いつものキミはもっと早くできるのに、今日はいつもより遅い。もっとがんばりなさい」という意味だったのかもしれません。

 しかし、言われたほうは「僕は応用問題が苦手なんだ。算数ができないんだ」と受け取ってしまったのです。先生から言われた一言をずっと覚えていて、それが思い込みとなって、数学の勉強を避けることにつながってしまったようです。

 私たちは生徒指導に関わる者として、「先生の一言は重い。子供の人生を左右する」ということを身にしみて感じ、自分たちの戒めとしなければなりません。

 もちろん教員研修の場では、不用意な一言で子供に間違った思い込みをつくらせないようにすることを指導してきました。

 ある会社の研修の場で40代、50代の幹部社員の方々に、過去に親や教師に言われて苦手意識をもった経験がないかを記入してもらいました。

 すると、なんと全員に思い当たることがあったようで、小中学生のときに先生に言われたことや、親に言われたことを覚えていて、それが現在にまで影響していると答えました。

 詳細は後述しますが、「積極性に欠けると通知表に書かれた」「絵が下手と言われた」など次々と出てきました。いずれも、小中学生のときの出来事です。それがずっと頭に残っていて、「自分はそういう人間なんだ」と思い込み、暗示にかかったかのように何十年間もの人生に影響を与えてきたのです。実際に聞いてみるまで、これほど影響が出ているとは思いませんでした。

 私は塾に通ってくる子供たちのために、間違った「思い込み」をなくしてあげるプログラムを導入したいと考えていました。その一環として社員研修を行っていたのですが、予想外に、大人のほうが実感をもって受け入れてくれました。

 その後、いくつかの会社に講師として呼ばれたときに、「思い込みの自己イメージが人生に影響していませんか」と問いかけてみました。

 すると、みなさん思い当たることがあったようです。ちょっとした出来事がきっかけで、自己イメージがつくられ、それが仕事や人生に大きく影響していることを実感されたようです。

 自分が抱いている自己イメージについて振り返って考えてみると、些細なことがきっかけとなっており、ほとんど根拠のない「思い込み」だったということに気づきます。そうすると、パッと人生の視界が開けてきたような気がしてきます。思い込みのイメージが白紙になるようなものだと考えて、私は「白紙化」と名付けました。

 「思い込み」をいったん白紙化する――シンプルなことですが、そのシンプルなことが大きな効果を発揮します。

 自分の人生をあらためて振り返ってみると、「まさか、あんな昔に言われた一言が何十年間も自分に影響していたとは!」と驚かれるのではないかと思います。その驚きは新しい自分に変化する第一歩です。

 みなさんも、ご自分の人生を一度振り返って、思い込みを白紙化してみてはいかがでしょうか?

 白紙化したあとは、自分の思い描く自己イメージをつくっていくことができます。新しい自己イメージを心に描いて行動を重ねていくと、それに対応する部分の脳の回路が強化されて、いつのまにかそのイメージの実現に近づいているはずです。

 私がおすすめしたいのは、「もっともっと尊敬できる自分づくり」です。自分のなかに一本の揺るぎない基軸をつくると、迷いが消えて、目標により早く近づくことができます。

 自分の思い描いた自分を目指して、楽しみながら自分づくりをしていただければと思います。人生は自分が主人公の「自分づくりゲーム」です。楽しく取り組んでみてください。


<書籍紹介>

脳科学を活用して 平凡から非凡へ

堀川一晃 著
本体価格1,200円

心における「マイナス要因の白紙化」と「プラスの自分づくりメソッド」――自分で自分を育てる、変えるためのノウハウ満載の一冊。

<著者紹介>

堀川一晃

(ほりかわ・かずあき)

株式会社ウィザス(第一ゼミナール/ファロス個別指導学院/第一学院等運営)代表取締役会長

26歳で市議会議員に当選。市議時代に教育の将来を憂慮し、30歳で「目標は志望校合格、目的は社会で活躍できる人づくり」が実現できる「民間教育機関の構築」をめざし起業。現在は、全国で200校を超える校舎で教育事業を展開中。ボランティアでは石垣島・宮古島など沖縄の自然保護活動や、日本ユネスコ協会連盟のエリーニ・ユネスコ協会会長として10年以上活動。著書に、『子育ての座標軸』(第一プロジェ)、『もっと、ずっと、キミは…君らしく!』(学びリンク)、『アララ!』(ゴマブックス)、『プラスサイクル思考法』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『“だから、何事もうまくいく”ラクラク実践法』(共著、第一プログレス)などがある。

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