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ココナッツオイル&ミルクは、なぜ認知症予防にいいのか?

白澤卓二(順天堂大学大学院教授)

2015年02月27日 公開 2022年12月28日 更新

 

1日2杯のココナッツオイルで認知症を予防・改善

ケトン体の血中濃度を上げるには

 中鎖脂肪酸を含むココナッツオイル&ミルクを適度に摂取すれば、ケトン体の血中濃度は上昇します。個人差はありますが、基本的には摂取してから3~4時間後に血中濃度がピークを迎え、その後、徐々に下がっていきます。

 進行したアルツハイマー型認知症の症状を改善するためには、ケトン体の血中濃度が下がらないよう、適度にとるとよいでしょう。摂取量の目安は、1日大さじ2杯としていますが、含まれている中鎖脂肪酸の量でケトン体がどの程度合成されるかが異なるので、症状の改善状態をみながら調整するようにしましょう。

アメリカの実験では、ケトン体の血中濃度0.2mmol/l 程度から認知機能の改善がみられたそうです。そして、順天堂大学の加齢制御医学講座・研究チームで、実際にココナッツオイル&ミルクを摂取してもらい、ケトン体の血中濃度を調べたところ、個人差はありますが、ココナッツオイル、ミルクともに平均して0.1mmol/l程度増加していました。参考にしてください。

認知症の症状が、ブドウ糖をエネルギー源として使えないガス欠によるものであれば、中鎖脂肪酸を摂取してケトン体の血中濃度が上がれば、すぐに認知機能の改善がみられると考えられます。

改善の度合いは個人差があるので、何か月もかかって少しずつ改善する場合もあります。また、それ以上、症状が悪化しないというケースもあるでしょう。なかには、症状が改善しないということもあります。

ただ、特効薬が存在しないアルツハイマー型認知症が、食事にココナッツオイル&ミルクを加えることで改善する可能性があるのですから、試してみる価値はあるのではないでしょうか。

 

朝食でココナッツオイル&ミルクをとろう

中鎖脂肪酸をとっても、糖質をいっしょにとっているとケトン体が合成されにくいという報告があります。ケトン体を確実に出すためには、朝食でココナッツオイル&ミルク入りメニューを食べるようにしましょう。これは、朝食を食べる時間帯がもっとも体内の糖質を使い切った状態だからです。

私たちは寝ている間もエネルギーを使っています。基本的に1回の食事で摂取する糖質は、7~8時間程度で使い切ります。夕食で糖質をとったとしても、夜9時までに食べ終わっていれば、翌日の朝起きたときには体内の糖質が枯渇していることになります。

このときにココナッツオイル&ミルク入りの料理を食べて、糖質をとらないようにすれば、ケトン体の血中濃度は上昇しやすくなります。

ケトン体がどの程度増えるかは、まだデータが少なく、個人差が大きいのではっきりとは言えません。きちんと知りたい場合には、ケトン体の血中濃度をはかることをおすすめします。健康保険は適用できませんが、1000円程度の血液検査で調べることができます。

 

ほかの脂質とのバランスを考えよう

注意していただきたいのは、ココナッツオイルもココナッツミルクも脂質を多く含んでいるということです。過剰摂取は肥満を招きます。調理油に使うなど、それまで使っていた油などに代えて毎日の食事に取り入れることをおすすめします。

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