グーグルの社是と「10の事実」~空気のようにオフィスに宿る経営理念
2011年11月19日 公開 2023年01月05日 更新
現場のエンジニアが語る社是と「10の事実」
グーグルの経営理念は社是(mission statement)と「グーグル10の事実」に表わされている。社是は「グーグルの使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。"To organize the world's information and make it universally accessible and useful"(同社HP)とあるのみである。
検索エンジンが登場して以来、さまざまなことが変わってきたが、グーグルは常にユーザーの利益を第一にしている、そしてインターネットの世界にはまだまだ可能性があるという、同社の明快な信念を表現している。
そしてユニークだと言われているのが、「10の事実(Ten things Google has found to be true)」である。経営理念において"事実"というのは日本の会社の経営理念には、まず見かけない表現といえよう。経営理念にありがちな重い表現ではなく、「べき」こととするようなものでもなく、「ありたい」といった願望でもない。ただ"事実"なのである。
その内容は次のとおりだ。
こう眺めてみると、ここで掲げられている"事実"は、それぞれ不思議な説得力がある。グーグルのHPにはそれぞれの項目について説明が書き添えられているが、これらの文章がだれによって、どういう経緯で成立したかということについての表記はない。ただ、「すべての活動の指針となる根本的な原則です」とあり、「最初に作成されたのは数年前ですが、その後も継続してリストの内容を更新しています」と将来の変更の可能性を示唆するのみである。
今回、編集部ではグーグルにおける経営理念のあり方について、責任者への取材を依頼した。すると、広報部の返答は、トップダウンではない企業なので、ミッションや企業文化について語るのにふさわしいのは一般社員だという見解をいただいた。
役職者はいるが彼らが語ることも一般社員と同じだとのこと。そこで、グーグル広報部の河野あや子氏と若手エンジニア末松宏一氏に話を伺った。