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その疲れは「朝食抜き」が原因かも!?

笠井奈津子(栄養士/フードアナリスト)

2018年08月17日 公開 2023年09月07日 更新

 

お勧めの朝食は「卵」と「ご飯」

「現代人は飽食なので、1日3食は食べすぎ」という意見もあるようです。しかし、現代人の食事の大半は糖質や脂質を多く含むもので、野菜や魚を多く食べているわけではありません。カロリーはとりすぎなのに、身体に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養は不足しているのが現代人の食生活です。

 朝食を抜けば、栄養を補給する貴重な機会を失うことになります。これも「昼食や夕食でとればいい」と思うかもしれませんが、平日は昼も夜も外食や弁当で済ませる人は多いはず。すると、どうしても炭水化物や脂質に偏った食事になりがちです。

 当然ですが、栄養が不足すると身体が疲れやすくなります。例えば、朝、駅の階段を上るのが辛いという人は鉄分不足の可能性もあります。「歳だから疲れるのは仕方ない」と考えるのはもったいない。朝食で十分にリカバリーができるのです。

 そこで、朝食では日中にとりにくい栄養を優先してとってください。朝食で最優先すべき栄養は、良質なタンパク質です。

 タンパク質はエネルギーの代謝を促して体温を上げるので、頭や身体の働きを活性化するのに不可欠。また、体内時計を正常に働かせるにはセロトニンというホルモンが必要ですが、その材料となるトリプトファンというアミノ酸は、肉や魚、卵、大豆などタンパク質の多い食品に含まれます。

ところが、昼食が外食だとタンパク質を単体で補うのは意外と難しい。肉料理を選んでも、揚げ物や炒め物だと同時に脂質も多くとることになってしまいます。だからこそ、朝食で良質なタンパク質を補給することを心がけてください。

 お勧めの食材は「卵」。タンパク質に加えて、不足すると疲れやすくなる鉄も補充できます。ゆで卵ならコンビニでも買えるので、朝食を職場のデスクで食べる人でも続けやすいはずです。

 ただし、だからと言って炭水化物をとらなくていいわけではありません。起床後の短時間でエネルギーを補給し、頭と身体を目覚めさせるには、やはり朝食でも炭水化物は必要です。

 朝食でとる炭水化物は、できればパンよりご飯がお勧めです。パンより脂質が少なく、雑穀米にしたり、海苔や具材を加えることで、血糖値の上昇を緩やかにする食物繊維もとることができるからです。コンビニ派なら、「おにぎり+ゆで卵」の組み合わせがいいでしょう。

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ベストではなくベターな朝食を目指す

著者紹介

笠井奈津子(かさい・なつこ)

栄養士/フードアナリスト

1979年、東京都生まれ。聖心女子大学卒業後、川栄養専門学校を経て栄養士となる。都内心療内科クリニック併設の研究所などで食事カウンセリングに携わり、1万通り以上の食事記録をチェック。現在は、ビジネスパーソン向けに企業内研修やカウンセリングを行なう他、ダイヤモンド・オンラインにて「仕事脳で考える食生活改善」を連載中。著書に、『成功する人は生姜焼き定食が好きだ』(晋遊舎新書)など。

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