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高騰する留学費用 翻訳者が教える「英語を日本国内で習得する方法」

タカ大丸(通訳/翻訳家)

2018年12月14日 公開 2023年01月12日 更新

お金をもらいながら英語を学ぶ方法

英語ができればビジネスチャンスが増えるとういうのに、こんな世の中では貧乏人が余剰資金をつくって生きた英語を学ぶことは不可能なのだろうか。実は、方法はある。

2月某日、私は長野県の白馬に赴いた。インバウンド・ツーリズムの盛り上がりにより、白馬がオーストラリア人で埋め尽くされているという話を聞いたからだ。

私が泊まったのはJR白馬駅から徒歩15分ほどのところにあるビジネスホテル風の宿だったが、周囲を見回したところスノボにきた日本人大学生のグループがいて、もちろんオーストラリア人もいるが香港とか中国などの人も多く、オーストラリア人だけに占拠されているという感じではない。

だがその翌日にスキー場に近づけば近づくほど、たしかに看板などの英語表記が増え、オーストラリア人らしき観光客の比率が高まっているのがわかる。

そんな白馬を訪れるオーストラリア人観光客が必ず情報源としているフリーペーパーがある。「白馬コネクト」という名前で、白馬村のホテルやカフェ、レストランなどに置いてある。

このフリーペーパーを発行しているのは、白馬に魅せられて移住してきたスティーヴ(英国出身)と三季世(東京出身)のウィリアムス夫妻である。今回、このウィリアムス夫妻に話を聞いてみた。

スティーヴ:私はイングランド出身で、白馬に移り住むまでマンチェスターと東京で会社勤めをしておりました。その後日本の山岳に魅せられ、どこかに移り住もうと妻と話し合っていた時に、白馬の成長性に惹かれ、移り住むことになりました。2007年のことでした。ニセコや志賀高原も考えましたが、白馬は色々なレストランもあり、国際色豊かで、なおかつ自然が豊富なところがよかったですね。

三季世:ちょうどそのころロンドンでスキーショーがあり、ニセコや富良野はプロモーションを盛んに行っていました。白馬はそういう動きを始めたばかりでしたね。

―白馬における最初の仕事は何でしたか?

スティーヴ:ALT、つまり英語の授業の助手でしたね。週3回くらいでしたが、当時は外国人が少なかったものですから大歓迎されました。ほぼボランティアに近い感じで、受け取ったお金は少なかったですが、やりがいはありましたね。

―最近、白馬で若手の労働者が足りないらしいですね。

スティーヴ:ほかの小さな村にもよくある高齢化の話ですね。その点スキーがあるから白馬は多少マシだと思いますが、若い人はいつでも大歓迎ですよ。特に白馬のピークは12月の終わりから2月の終わりまでの約10週間です。この時期は特に仕事が多くなると言えるでしょう。外国人でシャレーを所有している人などは、この時期に集中して稼ぎます。

―もし私が今18歳で、それほど英語が達者でないとするなら、どうやって白馬の仕事を探しましょうか?

スティーヴ:この話はフロントヤードとバックヤードに分けて考えたほうがいいと思います。運転手とか、ウェイターとか、ホテルの受付といったフロントで実際に外国人観光客に接する仕事につきたいのであれば、最低限の英語力は必要です。

英語がまったく話せないのであれば、清掃とかベッドメイクといった裏方・バックヤードの仕事につくことになるでしょう。しかし、私の見るところ英語がわからないまま白馬にやってきた若者も、観光客と接していれば英語の習得は明らかに早いです。

―英語が話せる場合と話せない場合で、白馬での平均時給はどれくらいでしょう?

三季世:おそらくは、1000円くらいではないかと…

スティーヴ:しかし、ピークの時期はとにかく人数を揃えないとオペレーションできなくなりますから、清掃担当でも時給1500円くらい払う場合もあります。冬に限り、ですけどね。

ただ、リフト係は逆に全く日本語が必要なく、外国人で足りますから逆に時給は下がりますね。ですが、白馬は中国語圏やロシア語圏の人も来ますから、そういう言葉ができるなら大変な強みになります。

―白馬において、地元住民と新しく入ってきた住民の間に軋轢はありますか?

スティーヴ:それはありませんね。バブル経済の時代には多少もめ事があったみたいですが、最近はそういうことはありませんね。多少あるとすれば、西洋人観光客が路上で酔っぱらうとか、中国人が行列に横入りしてくるとかですが、日本人だってハワイに行けば開放的になって酔っぱらうこともあるでしょう。国によってマナーが多少違うというだけで、大きな問題にはなっていませんね。

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