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欧米で議論沸騰の「2045年問題」 コンピュータと人類の主従関係が逆転する

冨島佑允(とみしまゆうすけ)

2019年06月06日 公開 2019年06月19日 更新

1000年間の歴史をたったの1秒で計算できる

地球から遠く離れた星に住む宇宙人なら、地球人が知らない色々なことを教えてくれるでしょう。彼らの文明が高度に発達していれば、地球人の知らない数学の体系や医療技術、未知の芸術や万能の化学素材を提供してくれるはずです。

ただし、本物の宇宙人は(いるとしても)遠く離れたところにいるので、直接教えてもらうのは不可能です。そこで、バーチャル宇宙人の出番です。バーチャル宇宙人の創り方は簡単。コンピューターの中のシミュレーション世界に広大な宇宙空間を再現し、生命の住める星をいくつか配置するだけです。

時計の針を進めれば、それぞれの星では生命が独自に進化し、やがて知的生命が誕生します。彼らは独自の文明を築き、科学技術を発展させていくでしょう。

彼らの文明は、シミュレーションの実行者にとっては宝の山です。バーチャル宇宙人の頭の中をスキャンすれば、人類が思いつきもしなかった色々なアイデアを得られるでしょう。

シミュレーション世界における時間の流れは、現実の時間の流れとは違います。シミュレーションを実行しているコンピューターの性能が高ければ、シミュレーション世界での1000年間を、たった1秒で計算することも出来るでしょう。

まるでパラドックスのようですが、バーチャル宇宙人の文明は、創造主である地球人の文明を追い越して進歩していけるのです。数十億年の生命の進化の歴史だって、コンピューターの性能さえ十分ならば、一晩もあればシミュレーションできてしまうでしょう。

要するに、シミュレーション技術をうまく利用すれば、ビジネスに有用な知識やアイデアを量産することができるということです。テスラCEOのイーロン・マスクはシミュレーション仮説の支持者として知られていますが、彼の頭の中には、このような産業利用への期待もちらついているのでしょう。

いずれ人間は、AIから色々なことを教わる立場になるでしょう。ではその次の時代は?ずばり、「バーチャル宇宙人」が我々の教師となるのです。

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