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批判ばかりの「前例おじさん」が会議を長引かせる…ベテラン社員が注意すべき“態度”

越川慎司(クロスリバー代表取締役社長)

2020年12月19日 公開 2022年07月12日 更新

 

新規ビジネスの9割は「会議室の外」で生まれた

「アイデア出し」の会議で顧客の複雑なニーズを解決する方法を考えたり、ニーズ自体を作り出していくためには、自分1人ではなく他者を巻き込んで、また自部門だけでなく他部門をも巻き込んで、コラボレーションを進めていく必要があります。

弊社では、この3年間でクライアント企業26社の新規ビジネス開発に関わり、19件、計62億円の売り上げを生み出してきました。そこで、この新規ビジネス19件が何を起点として、どのように生まれたのかを突き止めようと、関わった人たちにアンケートと対面ヒアリングを行いました。

すると、19件の新規ビジネスのうち、会議室で行われた会議の中で最初のアイデアが発せられたものは、たったの2件しかありませんでした。残り17件は、なんと会議室の外で発言されたものでした。そして、そのうち16件は会議室手前や廊下での会話が起点となっていたのです。

例えば営業の人なら、会議の前後に「今ちょっといい?」という感じで関係者を呼び止めて「こういう提案方法を考えているのだけど」とか、マーケティング部門の人が人事部の人に「こういう企画、どう思う?」などと立ち話をして、そこからイノベーションが生まれていました。

つまり新規ビジネスの起点は会議ではなく、カジュアルな会話であることがわかったのです。会議室に大勢が集まり席に座ってしまうと、かしこまってしまいます。また上下関係がハッキリしている企業では、上司の前で突拍子もないアイデアを出しにくいものです。

会議よりもカジュアルな会話の方がアイデアが出やすいのです。だからこそ、会議を減らして会話を増やすべきなのです。

 

考え抜くなら朝10時、創造的なブレストは16時に

「アイデア出し」の会議は、どのような時間帯に行うのが効果的なのでしょうか? 脳の前方にある「前頭前野」は、仕事で集中力が必要な時に働く「ワーキングメモリー」の機能を持っています。

ワーキングメモリーの容量は限られており、それを超えると機能が低下します。「前頭前野」のパフォーマンスを高めるためには、ワーキングメモリーの容量内で、集中力を最大限に使いこなさなければなりません。

「前頭前野」は、複雑な情報を扱うと負荷がかかり、パフォーマンスが弱まっていきます。考える時間が蓄積されるほどメモリー容量がいっぱいになっていきますから、まだ負荷のかかっていない午前中に考えた方がパフォーマンスを発揮できるということになります。

つまり、「トラブル対応」や「マーケティング手法の改善」など、考え抜く必要があるブレスト会議は、午前早めに開催するのがよいです。睡眠から完全に覚醒し、通勤ラッシュの疲れを回復した午前10時が、考え抜く必要のあるブレスト会議に最適な時間と言えます。

また、人間は脳の一部が疲れると、他の脳機能が活性化する傾向があります。例えば思考や集中力をコントロールしている「前頭前野」は、16時ぐらいから疲れ始め、機能が低下していきます。

一方、感覚を司る「頭頂葉」は「前頭前野」が疲れ始めてから機能が活性化していきます。よって、「創造的なアイデアを出すこと」が目的のブレストであれば、「頭頂葉」が活性化する16時に開催するのが理想的なのです。

 

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