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生き方

他人から嫌われる人の共通点

加藤諦三(早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員)

2021年02月16日 公開 2024年12月16日 更新

加藤諦三

他人を馬鹿にしながら、自分自身を馬鹿にしている

自分を傷つけて生きている人は、不幸にも、さらにその人を傷つける人とつき合ってしまう。もっと言えば、その人を否定する人とつき合ってしまう。

自分が頭が悪いと心の底で感じている。しかし、そのことを認めることができない。そこで、自分にも他人にも頭のいい「ふり」をする。それは、頭が悪い人間を軽蔑しているからである。

頭が少しぐらいよかろうと悪かろうと、そんなことたいして人間の価値と関係ないと思っていれば、その人は心の底で感じているままに意識の上でも感じることができる。

つまり、その人は、心の底で感じている自分を自分みずから否定し、軽蔑しているのである。そして、その人は頭の悪いことを軽蔑し、自分が頭がよいという「ふり」を自分にも他人にもするから、頭の悪いことを軽蔑する人にひかれてしまう。

その人は、Aという人が頭がよいと思うと、Aにひかれていく。そして、Aとつき合いたがる。だが、その人は心の底で自分が頭が悪いと感じ、そのことを軽蔑しているのである。

従って、Aとつき合うということは、心の底で自分をさらに傷つけるということなのである。その人はAに対して卑屈になる。そして、Aの持っている弱点が見えない。もし、このAという人が立派な人なら別だが、この人のように心に葛藤のある人がひかれる人で立派だという例はきわめて少ない。

心に葛藤のある人、つまり自分が見えていない人は、他人も見えない。そのAが、人間としてさまざまな欠点を持っていても、そのことには気がつかない。Aが頭の悪い人を馬鹿にしたような発言をすると、それに唱和して、ある人を馬鹿にする。

しかし、この時、ある人を馬鹿にしながら、実はこの人は自分自身を馬鹿にしているのである。人間にとって自分を馬鹿にすることのほうが、自分を尊敬するよりはるかに容易である。高慢な人は、たいてい自分を馬鹿にしているものである。

お金持の仲間に入りたくてしかたない人が、自分はそれほどお金持でないくせに、お金持の人と一緒になって貧しい人を軽蔑する。この時、この人は、ほかならぬ自分を軽蔑しているのである。

そして、このような人は、立派な人格を持ったお金持とは決して接しない。他人を軽蔑することで自分の自尊心を維持しようとするような、卑しいお金持とつき合うことになる。

自分を否定する人は、自分を否定する他者とつき合う。自分を受け入れていない人は、自分を受け入れない人とつき合う。自分を傷つける人は、自分を傷つける人にひかれていく。わざとらしい人とわざとらしい人とが一緒になっているのをよく見かけるのは、このせいである。

【著者紹介】加藤諦三(かとう・たいぞう)
1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1973年以来、度々、ハーヴァード大学研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授、日本精神衛生学会顧問、ニッポン放送系列ラジオ番組「テレフォン人生相談」は半世紀ものあいだレギュラーパーソナリティを務める。

 

著者紹介

加藤諦三(かとう・たいぞう)

早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1973年以来、度々、ハーヴァード大学研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授、日本精神衛生学会顧問、ニッポン放送系列ラジオ番組「テレフォン人生相談」は半世紀ものあいだレギュラーパーソナリティを務める。

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