コロナショック真っ只中に「不動産」で独立してしまった元日本No.1営業マンの“涙と笑顔の理由”
2021年03月17日 公開 2022年10月12日 更新
自分の経験を売る
「郊外に人が移動して、都心の不動産は暴落しているんじゃないの」。秋口になるとようやく販売実績も回復しつつある状態になったが、都心の物件を警戒する声も聞かれるようになった。
そこで私はこう答えるようにしている。「いえ、私も不動産をいくつも所有していますが、実際の入居状態と家賃相場を見てください。以前と変わりません。東京なら、場所と物件を吟味すればこれだけの収益を得ていくことが可能なのです」。
一般的に不動産投資と聞くと、危険な投資対象だと思われがちである。しかし、実際にはバブル期のように極端な値上がりこそ見込めないが、単身世帯に好まれる立地の良い物件を所有していれば、長期的には利益が出る仕組みになっている。
そう聞いても投資経験がない人は怪しむが、私の実際の入居率と家賃推移、毎年の利益率を見れば話は別だ。首を捻っていたお客様も数字を見ればいつの間にか前のめりになる。
結果的に、私は当初の予定通り中古ワンルームマンション販売と賃貸管理で正式に独立することになった。
採用する予定だった社員も想定通り付いて来てくれたが、業界自体がまだコロナショック以前に戻っていない上、前職の会社のバックアップがなくなったことにより、独立後の営業成績は販売数ゼロこそ出さないものの、当然ながら業界最下位からのスタートだ。
それでも自分には、自分もこの渦中に不動産大家だったという経験の武器がある。合わせて、物件の仕入れと目利きも自分で行えるようになったことも大きい。
良い物件は仕入れ値が下がりにくいため、一戸あたりの利益率が低い。不動産会社の多くは薄利多売状態を避けるため、利益率が高くなる物件をお勧めしがちだが、自分が不動産大家をしていることもあり、そうした物件は取り扱いたくなかった。
自分も大家として買いたいと思う物件、大家として受けたいと思う賃貸管理サービスを提供すること。この2点を起点に営業活動を続けていると、お客様の反応は明らかにこれまでとは違っていた。
武器さえあれば、あとは上がっていくだけ
この時期に独立するなんて大変ですねと言われることも多い。私はいつも学生時代から続けているマラソンのことを夢想する。どんなマラソン選手も初めはゼロからスタートするものだが、持久力と自分の体力を見誤らず、地道に登りつめていけばタイムも順位も順調に上がり続けてくれる。
逆に考えればトップになるまでは上昇し続けられるとも言える。虚勢をはるのではなく、本当にいい時期にいい形でスタートを切れたと思っている。あとは登っていくだけなのだから。