1. PHPオンライン
  2. 生き方
  3. 「他人を傷つける人がたくさんいる世の中」で生きるために大切なこと

生き方

「他人を傷つける人がたくさんいる世の中」で生きるために大切なこと

ryuchell(りゅうちぇる)

2022年02月25日 公開 2022年08月15日 更新

 

「生きる術をもっているあなたはとても素敵な人です」

――ryuchellさんは中学生のころ、からかわれないよう、いかに目立たなく生きるかを意識していた、と書かれていますね。同じような苦しみを抱える子どもたちに、どのようなアドバイスをしますか。

【ryuchell】いまなら「無理に目立たなくてもいいよ」と伝えます。自分の経験があるからといって、「無理しても地を出したほうがいい」「素のままで生きないと後悔するよ」とは言いたくなくて。

「空気になりたい」と思って個性を消すことが、自分を守り、幸せでいられる唯一の方法なのであればそれでいい。生きる術をもっているあなたはとても素敵な人です、と。

そのうえで僕が伝えたいのは、苦しみが一生続くことはない、ということ。学生のときは、自分が生きている狭い世界が世の中のすべてだと感じがちです。

仮に学校でいじめられていたら、これからの人生も同じ世界が続くんだ、と。しかしそれは違います。世の中にはあなたと波長の合う、あなたを輝かせてくれる人や、一緒にいて心地よい人が必ずいる。いま、誰ともわかり合えなくても大丈夫。広い世界に飛び出してから心底、理解し合える人と出会えたとき、その人を何よりも大事にすればいいんです。

 

ほとんどの人の悩みが「自分に自信がない」

――日本社会において、人びとの自己肯定感が低い背景には何があると考えていますか。

【ryuchell】日本で重要とされる「協調性」は、生きるうえで大切な要素です。ところが「協調性」の意味をはき違えてしまうと、周りに合わせることだけに集中して、自分の本心が徐々にわからなくなってしまう。

日本には、依然として学校などに「このレールを歩んだ人が優秀」という空気が残っているじゃないですか。テストで高得点をとれば勉強ができると見なされ、生徒会に入れば「いい子」と評価される。

一方で、誰も通らない道を自己流で切り開いていこうとすると周りから浮き、「扱いづらい子」になってしまう。そんな環境では、自己肯定感が育つわけがありません。実際に社会で抜きん出るのは、自分の力で道をつくれる人。子どもに施されている教育と、社会に出てから必要とされるスキルが乖離してしまっているんです。

――社会に出る前の段階で、自分を愛する力を身につけておかなければならないわけですね。

【ryuchell】僕はこれまでに多くの相談を受けてきました。ほとんどの方の苦しみが、「自分に自信がない」という原因に行き着きます。

容姿、学歴、年収など、大人になるほど明確に「格差」を突き付けられるうえに、いまの時代はSNSで他人の生活が見えすぎてしまう。他者と自分を比較し続ける人生のなかで、どうしても自己愛が育ちにくいんです。

自分を愛し、守るための土台をつくるのは、子どもの周囲の大人たちです。幼いときから「あなたが好きなことを好きだというのは、何もおかしなことではない」「あなたの心を守れるのはあなただけ」と、しっかり言葉で伝える場が必要です。

次のページ
自問自答を繰り返して、埋もれていた「本心」を見つけ出せば人生が変わる

関連記事

アクセスランキングRanking

前のスライド 次のスライド
×