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生き方

片づけられない、忘れ物が多い...発達障害の境界線はどこ?

姜昌勲(医学博士)

2022年03月03日 公開 2023年12月19日 更新

 

あいまいなことが苦手...ASD(自閉症スペクトラム)

【CASE3】夫の両親と同居することになったのですが、義母とのコミュニケーションに困っています。「うまくやっといて」と言われても、何をどうしたらいいのかわからないのです。【Cさん/49 歳・女性】

自閉症スペクトラムの方は、視覚化されている物に対する記憶力に優れている半面、目に見えないことをイメージするのが苦手です。そのため、「Yes、No」で回答できる質問なら答えられますが、「調子はどう?」のように自由度の高い質問になると途端に混乱します。

また、上司の指示の意図が汲くみ取れない、相手を不快にさせるような発言をしてしまうケースもあります。こういった特性がある方は、「わからない」ことを相手に伝えるようにしましょう。優先順位や〆切、すべきことなどを、メールやメモで視覚化するのも有効です。人づきあいに不安がある場合は、「私、空気読むのが苦手なんで」と相手に話しておくと、周囲もあなたのことが理解しやすくなります。

 

自分への理解と同じくらい周囲の理解も大切!

発達障害の症状は、脳機能がアンバランスに発達したことが原因とされます。個人のやる気や性格のせいではありません。しかし、本人の「できること」と「できないこと」の差が激しいため、周囲から「サボッているだけ」と誤解されることが多々あります。

そして、こうした周囲との関係から自己肯定感が低くなると、「うつ病」や「不安障害」などの精神疾患を併発することもあります。

「自分は発達障害かも」と思ったときに大切なのは、「1人で悩まずに、専門家に相談すること」。そして「周囲に自分の特性を理解してもらうこと」です。

具体的には、診断書を提示したり、家族や職場の人と一緒に診療に行ったりして、医師から説明してもらう。ほかにも、あいまいな指示が苦手なら、周囲が「具体的な指示を出す」ように変わるなど。

それだけで、本人のストレスが軽減されて、本来の能力を発揮できるようになります。それが結果として、自分と周囲の人たちの幸せにつながるのです。

 

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