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「誰にも感謝されなかった」と恨む人がいつまでも不幸な理由

2022年03月23日 公開

加藤諦三(早稲田大学名誉教授・ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員)

加藤諦三

兄の仕事の失敗で、姪に高校の教育費を払い続けた人がいる。しかし、兄からも誰からも感謝の言葉をもらえない人がいた。やり切れない状況だが、その人の気持ちはどうすれば救われるのか?ものごとをどう受け止めるかは、その人の心しだいだと加藤氏は語る。

※本稿は、加藤諦三著『心の免疫力 「先の見えない不安」に立ち向かう』(PHP新書)を一部抜粋・編集したものです。

 

不満多き人生は「受け身」の姿勢から

ポジティブ心理学の研究者であるセリグマンによると、子どもは自分の能力で不満を解決すると、自分の能力を信じられるようになる。「自分にも出来る」という自信が湧いてくる。

「自分の能力で不満を解決する」というと、何かすごいことのように考える人もいるかもしれない。

しかし、そうしたすごい困難とか不満を解決することだけを言っているのではないだろう。日常的なことへの不満を解決することでも、人は自信を持つものである。

つまり人は、自分の意思をいえなかった時に、不満を持つ。

あのケーキを食べたかったのに、「食べたい」と言えなかった時に、不満を持つ。その不満を解決するとは、「あのケーキを食べたい」と自分の意思を伝えることである。

この、自分の意思を伝えることが、できない人がいる。これが長年にわたって続くと、愚かな大人になっていく。困難に際して人に解決してもらうことを続けていると、いつになっても自分に自信がつかない。

よく親は子どものためと思って、子どもに代わって困難を解決してあげてしまう。しかしこれは、かえって子どものためにはよくない。

「その行為は子供の中に無気力を植え付けてしまう」とセリグマンは言う。

このような場合、実は親は子どもを好きではない。親は情緒的成熟に失敗している。

同じようなことを、エレン・ランガーも言っている。

「自分の健康にもっと積極的に働きかける方法はないものだろうか」と問いかけてみることだと薦めている。

それにはまず、「何かあると何も考えないですぐに専門家に相談する」習慣によって奪い去られた、対処能力を取り戻すことだという。

 

自分の価値を信じられない人

自分の側から働きかけて人間関係の「いざこざ」を解決した人は、人間関係に自信がもてる。

しかし人から働きかけられて、受け身のままで人間関係のトラブルを解決した人は、その時の問題は解決しても、また次の人間関係でトラブルを起こす。

その時にどうしたらいいか分からない。そしてまた、相手が解決してくれるのを待つ。解決してくれなければ相手を恨む。そしていつになっても人間関係に自信がもてない。

「今から、ここから、自分から」とよく言われるが、これが出来ないのが神経症者である。うつ病になるような人である。

彼らの特徴は受け身である。何よりもレジリエンスがない。そしてこの受け身の姿勢が、いつになってもその人に自信を与えない。

受け身とは何よりも「愛を求めている」姿勢なのである。自分が求められる存在でありたいという願望から出ているのが、受け身の姿勢である。

受け身は愛情飢餓感を表わしている。だからこそ、この受け身の姿勢はなかなか治らない。愛されて育った人は受け身にはならない。

つまり受け身と自己無価値感とは分かち難く結び付いている。それは同時に積極性、能動性、自発性の欠如の現象でもある。そして、その背後に愛情飢餓感がある。

ただレジリエンスのある人は、過酷な虐待の中で成長しながらも自分は生きる価値があると信じている。虐待など、さまざまな地獄の火あぶりを体験しながらも、レジリエンスのある人は「私は愛されるに値する」と深く信じている。

ただ残念ながら、私たちの多くはレジリエンスがない。

この例に挙げた人たちにもしレジリエンスがあれば、「自分はこれだけの問題を解決した」と能動的に自分の過去を受けとめ、彼らは大変な自信を持てるようになる。

しかし彼らは受け身で「これだけのことを皆にさせられた」と受けとめていたから、それだけ苦労しながら自信にはつながらない。

事態を「やらされた」と受けとめるか、「自分がやった」と受けとめるかの違いである。

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